結実

Миру Україні

2015年11月30日 07:07


夜明け前の水辺は南風が吹き穏やかだった。
しかし辺りが仄白くなるにつれ強い北風が正面から迫ってきた。
天気予報通りだった。
沖から波が打ち寄せ始め、引く潮とぶつかり水面が荒れ始める。
好機到来とばかりに集中力が高まる。
向かい風を突き抜け海面に着水したプラグは溺れるように漂う。
突如、波間に飛沫が上がり、
朝陽に照らされた魚体が翻ったのが遠くに見えた。
鱸だ。
直後から10ftのロッドに負荷が掛かると続けて四度水面を割り、
その度に緊張が走った。
今年は釣れるだろう条件ばかりを狙っての釣行が多く、
やはりそのほとんどで狙い通りの結果を得られた。
狙い通りになったことの喜びを味わうも、なにか違う。
欲しいのは、もっと心弾み、刺激的かつ緊張感溢れ、
その先に待っている大きな感動ではないのか。
どうしてもその場所で鱸を釣り上げたいと願っていた水辺へ向かった。
何年もずっと裏切り続きの水辺。
そこで出会う釣人といえばアジ釣りか投げ釣り。それも少人数。
近くにある釣具屋の店内の壁と天井を隅々まで見渡しても
鱸の魚拓だけが見当たらない。
でも僕は大きな鱸が居るのを知っていた。
その昔、子供がアジ釣りをしていたときに
アジの群れの下を一尾、大きな魚影が通ったのだ。息を呑んだ。
きっと自然条件が揃わないと喰わない。
いつか釣り上げてみせる、と消えゆく影に約束した。
それから何度も好条件下で訪れた。
それでも釣れない。とにかく釣れない。
この日、とうとう自分の鱸釣り概念を捨てたタックルを選択した。
プラグを大きくし、タックルはそれを扱えるパワーを備えたもの。
これらが功を奏したらしく、
僕と鱸の長い距離がゆっくりと縮まる。
激しいエラ洗いは心臓に悪かったが決して主導権を譲ることなく、
波に乗って水辺に鱸が横たわった。
鱸は見慣れた魚であるが、影を潜めていた感動が表に現れ、
これだ、こういう釣りをしたかったんだと久しぶりに震えた。
鱸を水に帰し立ち上がった時、
すぐ頭上でトビが獲物にありつこうと旋回していたが、
しばらくして遠くへ飛び去った。
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