憧れだった幻の魚ビワマスを撮影

Миру Україні

2021年11月16日 07:07



ビワマスの名前を初めて知ったのは小学生の時だった。

小学館の魚図鑑にサケ・マスの仲間として
ビワマスのイラストと短い紹介文が書かれており、
その前後にはサクラマス・ヤマメ・アマゴが並び、
なぜかサツキマスがおらずビワマスが紹介されていた。

そのイラストは撮影画像のようなドギツイ婚姻色で、
顔つきが魚類ではなく精悍な獣のよう。
すごいマスが琵琶湖には泳いでいることを心に刷り込まれた。


月日は流れ高校生の時、釣り好きの同級生が
ビワマスの記憶を呼び覚ました。
彼いわく、ビワマスは幻の魚で釣ったことはないけれど
琵琶湖の岸に打ち上げられた亡骸を見て感動したのだと。
この同級生は他の釣り好き同級生とは一線を画し、
なかなかの魚好きでビワマスはもとよりビワコオオナマズも
知っており、ハスだのワタカだのも知っていたので、
同じく魚類図鑑好きの僕と意気投合した。
そんな彼も今はもう・・・・・・どこで何をしているのかまったく知らない。

月日はさらにさらに流れ、
近年はボートで釣るビワマスガイドなるものがあるらしく、
しかしながらトローリングという退屈な釣法だし、
タックルも自分のではないし、釣らせてもらってる感が輪をかけているため
まったく興味がわかず、しかも絶句するような料金。
そこまでしてビワマスと出会いたいとも思えず、
手軽に琵琶湖博物館の水槽を眺めることにしたが、
やはり飼育個体では感動が薄かった。

その昔は岸釣りでビワマスを狙う計画を企てていたことがあったけれど、
条例で禁止だの、禁漁期間だ禁漁区だなどで実行することはなかった。

結局のところ先に撮影という手段でビワマスに近づくことができた。
魚を傷付けることなく満足できるのだから、
結果的に一番良かったと思える

これまで新聞ではビワマスのジャンプが風物詩として何度も紹介されていたが、
なかなかどうしてタイミングが合わず、見ること叶わず。
というのも、当然だけど相手は野生であり自然条件も関係するわけで、
いつ行っても見られないからだ。

場所探しもなかなか苦労した。
あらためて琵琶湖は広いし、
目標達成は簡単なものではないと身をもって知った。

初めてビワマスの姿を見たのは広い淵だった。
水の透明度が高く、沢山のマスが泳いでいるのが見えた。
しかも大きい。これがビワマスなんだと確信。
撮影もせず時間が経つのを忘れてずっと見入った。

次は遡上する姿を見たい・・・・・・。
琵琶湖を走り回ったという表現を用いても問題ない。
姿がないのは遡上するタイミングが違うのか、
そもそもここには遡上しないのかなんなのかもわからず、
しかしながらできることは現場確認のみ。

ある時、視界の隅っこで大きな魚が跳んだ。

わ!飛んでる!早く!早く撮らな!

カメラにレンズをセットする手が震えている。

跳んだのはこの一尾だけで後がないかもしれない。
焦る焦る・・・・・・。

水辺に近づくと、次々とビワマスが上流に向かって跳ぶ。

凄い凄い!!

僕は慎重かつ大胆にシャッターボタンを押しまくった。
夢のような出来事が起こっている。
普段は沖合の深い水深を泳ぎ、その姿を見ることはできない。
それがいま、幻の魚が宙を舞っている。
亡骸じゃなく、生命の跳躍。
至福の時間だった。
半日で千ショットを超え、一本目のバッテリーを消費し二本目に。

カワセミの雄もやってきた。
僕の存在をあまり恐れていないらしく、
珍しいほど近くまできて枝にとまった。
キミが食べられる大きさのビワマスはいないよ。
しばらくしてカワセミは青い影になり飛び去った。


以前、面白いことがあった。

ビワマスの跳躍を見せてあげようと女性を誘った。
滅多に見られるものじゃないからね、と。

当日、彼女は道端に禁漁ののぼりだか看板に
ビワマスの文字を見つけたらしく、

「ビワマス?そんなマスがいるの?」

僕はずっこけた。ビワマスを見に来てる自覚ないんかい。
キミめっちゃ天然やなとわざと怒らせるように言ったのに
彼女は笑っている。
天然と言われて怒らないの?と不思議に思ったので尋ねてみると、

「養殖より天然の方が価値が高いからね」と言った。

すげえ。本物の天然やった。

まあこの温度差よ。
もし小学生だった僕が誰かにビワマスを見に連れていって
もらえることになったら、嬉しさのあまり地面を蹴って跳躍していたに違いなかった。



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