2015年07月22日
海岸で出会う

前方、地上十メートルほどの高さでこちらに向かってきた。
夕方に吹く強い西からの潮風を綺麗に切り裂きながら。
初めて出会う野鳥なのにそれがなにかすぐにわかった。
立ちどまり見上げるぼくの前を美しい飛行姿勢で飛び去ったあと、
一気に高度を上げた。
ぼくの頭上二十メートルほどの高さで、
翼を動かすことなく強風の中に定位した。
風の中に定位する姿は、
群れることを拒絶した孤高の美しさと、強く生きる意志が溢れていた。
そんな野鳥の姿に、人間であるぼくはひたすら見惚れてしまう。
この時あいにくカメラを持っておらず、しばらくして我に返りケータイで撮影。
だがすでに一羽のカラスが現れたことでかなり高度を上げてしまっていた。

西日に照らされた羽が光った。ハヤブサだ。
近くで見たときの特徴や生息地からハヤブサで間違いないだろうと判断。
猛禽類の中でも都会に生息し、しかも身近に生きるハヤブサ。
特に会いたかった猛禽だ。
偶然の出会いの瞬間だったが、ぼくは心から感動できた。