2025年02月16日
イトウは心に宿る54
レンタカーに装備されているカーナビの扱いが不慣れとはいえ、
目的地を設定したなら聞き間違いや思い込みをするヒューマン・エラーとは無縁の、
無機質とはいえそこへ確実に案内するのが機械としてのお役目だろう。
それなのにマップを拡大して現在地を確認してみると、
ここどこやねんと噴き出しそうな場所。
このカーナビは見当違いも甚だしい明後日の方向へ案内していたことになるが、
怪我の功名とは言ったもので、
おかげで遥か時を飛び越えて『あの橋』を彷彿とさせる場所に送り込んでくれた。
まったく不思議な出来事なのだけど、橋の上から覗きこんだ流れをしばし見つめ、
どこか観念したふうにこれも運命だと静かに飲み込み頷いた。
川幅は平均して十五メートルほど。ただし両岸から覆いかぶさる木々の種類や
樹齢によって川幅は一定しない。川の流れが単調かつ流速が強いのと、
太陽が南中高度のため両岸にできる木陰に魚達は身を寄せているように思えた。
車に戻り、橋を通過する車両に存在を気付かれぬよう
もう少しだけ奥へ進んで車を隠すようにしたが、
湿原河川はヒグマの恐怖だけが居座り、人っ気のない場所である。
タックルを準備する時も手元に集中することなく、何割かは周囲に意識を向けている。
この川に泳ぐ魚の生息確認をする為の魚釣りをするが、
主にアメマスなどのサケ科が主体となるはずで、
これが近畿圏だとウグイやオイカワ等のコイ科が泳ぐ中流部といったところ。
ロッドケースから二本のロッドを抜き出す。
ベイトロッドモデルのREX601HX-Gローディーラー・エクストリームエディション
名称アウトレイジャスは狭い湿原河川を想定し、大型ルアーを操作して喰ってきた大形イトウを
短時間で屈服させるべく選んだ。
もう一振りはスピニングモデルのR611RL-S2名称ミスディミーナーST。
軽量ルアーによるオショロコマやアメマス狙いを主としながら、
望外の大物アメマスやスーパーレインボーにモンスターブラウントラウトにも
対応できるバットパワーを有したロッド。
どちらの竿もウィップラッシュファクトリーの製品コンセプトとして、
飛行機で魚釣りへ行けるよう設えてあるのだが、
僕は必ず北海道旅行を現実のものとするため、
アウトレイジャスとミスディミーナーSTを用意しておいた。
そんな僕を見てきた概ちゃんは、まじまじと瞳を覗き込みながらこう言うのだ。
ひとつの竿でなんとかするのが釣り名人じゃないの?と。
罷り間違っても釣り名人などと一欠片も自認していないが、
うっかり長年魚釣りに興じてきたことで築いてしまったプライドを
揺さぶってくるような言い回しが超絶感じ悪い。
釣竿には夢が詰まっているとか、状況に応じた竿でないと釣り上げられないとか、
そもそも世の釣り名人と呼ばれる御仁の家中の竿をかき集めたら、
それはそれは立派な筏が組めるほど所有しているものだとか、
ありったけの言い分があるのにそれらは蚊の鳴くような声になってしまい、
魚釣りに理解を示さない女性を相手に有効打が皆目見当つかないまま、
たったの一言がクリティカルヒットとなり跪いてしまう。
2タックルを前にして、うぅ、ここはミスディミーナーSTの出番かな。
ミスディミーナーSTに組み合わせるスピニングリールはダイワ・ルビアスLT2500-XH。
これまでノーマルのギア比を好んで使用してきたが、
今回はXHの名の通りエクストラ・ハイギアにした理由として、
なにかと流れの釣りをすることが多くなり、
特にアップストリームでミノーを操作することにおいてハイギアの恩恵は大きい。
そんなのノーマルギアでも速く巻けば対応できるんじゃないのと思うことなかれ。
ノーマルギアを全力で回したところでXHのローターの超高回転すなわち
糸巻き量には遠く及ばず、この差を埋めることはできない。
ルビアスのスプールに収まるPEラインはYGKアップグレードX8で、
そこへ矢引きしたリーダーをFGノットで結び、スナップにはクリンチノットで結ぶ。
スナップに接続するルアーは流れを前にしてから考える。
湿原河川は橋から見渡すと上下とも長い直線で、航空写真を確認してもそうだった。
入川しても帰りは橋を目印にすればいいので目印のリボンは使わず、
概ちゃんに現在地とこれより魚釣りを開始する旨を送信した。
目的地を設定したなら聞き間違いや思い込みをするヒューマン・エラーとは無縁の、
無機質とはいえそこへ確実に案内するのが機械としてのお役目だろう。
それなのにマップを拡大して現在地を確認してみると、
ここどこやねんと噴き出しそうな場所。
このカーナビは見当違いも甚だしい明後日の方向へ案内していたことになるが、
怪我の功名とは言ったもので、
おかげで遥か時を飛び越えて『あの橋』を彷彿とさせる場所に送り込んでくれた。
まったく不思議な出来事なのだけど、橋の上から覗きこんだ流れをしばし見つめ、
どこか観念したふうにこれも運命だと静かに飲み込み頷いた。
川幅は平均して十五メートルほど。ただし両岸から覆いかぶさる木々の種類や
樹齢によって川幅は一定しない。川の流れが単調かつ流速が強いのと、
太陽が南中高度のため両岸にできる木陰に魚達は身を寄せているように思えた。
車に戻り、橋を通過する車両に存在を気付かれぬよう
もう少しだけ奥へ進んで車を隠すようにしたが、
湿原河川はヒグマの恐怖だけが居座り、人っ気のない場所である。
タックルを準備する時も手元に集中することなく、何割かは周囲に意識を向けている。
この川に泳ぐ魚の生息確認をする為の魚釣りをするが、
主にアメマスなどのサケ科が主体となるはずで、
これが近畿圏だとウグイやオイカワ等のコイ科が泳ぐ中流部といったところ。
ロッドケースから二本のロッドを抜き出す。
ベイトロッドモデルのREX601HX-Gローディーラー・エクストリームエディション
名称アウトレイジャスは狭い湿原河川を想定し、大型ルアーを操作して喰ってきた大形イトウを
短時間で屈服させるべく選んだ。
もう一振りはスピニングモデルのR611RL-S2名称ミスディミーナーST。
軽量ルアーによるオショロコマやアメマス狙いを主としながら、
望外の大物アメマスやスーパーレインボーにモンスターブラウントラウトにも
対応できるバットパワーを有したロッド。
どちらの竿もウィップラッシュファクトリーの製品コンセプトとして、
飛行機で魚釣りへ行けるよう設えてあるのだが、
僕は必ず北海道旅行を現実のものとするため、
アウトレイジャスとミスディミーナーSTを用意しておいた。
そんな僕を見てきた概ちゃんは、まじまじと瞳を覗き込みながらこう言うのだ。
ひとつの竿でなんとかするのが釣り名人じゃないの?と。
罷り間違っても釣り名人などと一欠片も自認していないが、
うっかり長年魚釣りに興じてきたことで築いてしまったプライドを
揺さぶってくるような言い回しが超絶感じ悪い。
釣竿には夢が詰まっているとか、状況に応じた竿でないと釣り上げられないとか、
そもそも世の釣り名人と呼ばれる御仁の家中の竿をかき集めたら、
それはそれは立派な筏が組めるほど所有しているものだとか、
ありったけの言い分があるのにそれらは蚊の鳴くような声になってしまい、
魚釣りに理解を示さない女性を相手に有効打が皆目見当つかないまま、
たったの一言がクリティカルヒットとなり跪いてしまう。
2タックルを前にして、うぅ、ここはミスディミーナーSTの出番かな。
ミスディミーナーSTに組み合わせるスピニングリールはダイワ・ルビアスLT2500-XH。
これまでノーマルのギア比を好んで使用してきたが、
今回はXHの名の通りエクストラ・ハイギアにした理由として、
なにかと流れの釣りをすることが多くなり、
特にアップストリームでミノーを操作することにおいてハイギアの恩恵は大きい。
そんなのノーマルギアでも速く巻けば対応できるんじゃないのと思うことなかれ。
ノーマルギアを全力で回したところでXHのローターの超高回転すなわち
糸巻き量には遠く及ばず、この差を埋めることはできない。
ルビアスのスプールに収まるPEラインはYGKアップグレードX8で、
そこへ矢引きしたリーダーをFGノットで結び、スナップにはクリンチノットで結ぶ。
スナップに接続するルアーは流れを前にしてから考える。
湿原河川は橋から見渡すと上下とも長い直線で、航空写真を確認してもそうだった。
入川しても帰りは橋を目印にすればいいので目印のリボンは使わず、
概ちゃんに現在地とこれより魚釣りを開始する旨を送信した。
Posted by Миру Україні at 07:07
│イトウ