2017年07月01日
これなんて魚?

水田の持ち主と立ち話が続く。
僕が生き物好きだと伝えると大変喜んでくれ、
いくらでも撮影してくださいとおっしゃった。
カエルの卵塊に続き、
メダカらしき魚が泳いでいたことにも触れると、
間違いなくメダカだという。
野生のメダカを近年見たことがない僕は
喜び飛び上がりそうになったが、
ここは慎重に冷静に落ち着いて話を聞くことにした。
心の中では、さあどっちだ、
キタノメダカなのかミナミメダカなのかと期待と焦燥が入り乱れる。
水田の持ち主である80代と思しきじーさんは言った。
「もらいもんなんでわからん」
この一言は、僕の心を奈落の底に突き落とすに十分な
威力を含んでいた。
まさか飼育型のメダカを放流してるんちゃうやろな・・・・・・と
不安がよぎるも、
自分の土地に良かれと思ってやっているじーさんに説明するのも
難しいかと思いつつ、しかし水田の水は川から引いた水であり、
また川へと流れている。
メダカとは総称であり、日本には大きくわけて
二種類のメダカがいる。前述した名前だ。
過去にメダカが絶滅の危機に瀕しているニュースが
話題になった時、
各地の有志がメダカを増やして放流する機運が高まり、
その結果、交雑が進んだと聞く。
細かい事を言わずメダカという名の魚が泳いでいれば
それでいいのだろうか。
特定外来種のカダヤシの群れを見てメダカの学校だと和んでいる
地元のおばーちゃん達はそれでええやんかと言いそうだけど・・・・・・。
他地域の魚と交雑が進むのをいわゆる遺伝子汚染と言う。
生息地によって特徴の異なる魚が存在するのに、
交雑により違う姿の魚が生まれ、
絶滅に追いやられるのは悲しい。
数を増やすにはまず、生息環境を整えるのが
先決ではないだろうか。
安易と言わざるをえない放流は危険すぎる。
また、イワナも総称だ。
近畿圏から確認しやすい例だと、
ニッコウイワナ・ゴギ・ヤマトイワナがいる。
それぞれ特徴を備えた魚であり、
イワナという標準和名の魚はおらず、
釣人が使う釣魚名「イワナ」として
一括りにしているのは危険だと感じる。
最後にじーさんが言った
「黒いのが泳いでるでしょ。あれが野生のメダカ」
僕はなんとか笑顔を繕うのが精いっぱいで、
心の中では、いや、あれおもいっきりメダカの姿ちゃうし、
カワムツ(たぶん)の未成魚ですよ・・・・・・。