2018年06月06日
サツキマス陸封型

アマゴの降海型を狙っていると、
サツキマスの陸封型が喰ってきた。
すっかり夜が明けた水辺に到着すると、
先行者と思しき地元ナンバーの車があった。
我先に水辺に立つのは失礼であるからして、
のんびり流れを眺めながら朝食をとることにした。
それにしても先の車から釣人が一向に降りてくる気配はなく、
もしかすると車の中はもぬけの殻なのかしら?
ならばと魚釣りの支度を始め、身支度を整え水辺へと歩き始めた。
一度振り返り、川に一礼して初投を。
数回投げたところで飲み物を忘れたことに気づき、
十メートルの距離を戻った。
すると、もぬけの殻のはずだった車で
釣りの支度をする人の姿があった。
挨拶をして無礼を詫びると、ずっと上流を狙っているらしく、
問題ないよと返してくださった。
ここから始まる魚釣り談義。
なかなかに有益な情報を得られたし、
サツキマスに対する僕の考え方・狙い方に
大きな問題はないようだった。
問題なのはサツキマスの個体数の少なさであり、
その少ない個体数に対し、
場所へのこだわりが邪魔をしていることが大問題だった。
本当に釣りたかったらどこそこへ行くべきだよと釣人は言い、
でも自分は行かないけどねと苦笑いしていた。
どこでなにが釣れても良いという考えの持ち主ではないようだ。
サツキマスもいいけどこの川のアマゴは素晴らしいよと残し、
互いの健闘を祈り彼は上流へ、僕は下流へと向かった。
僕はサツキマス狙いだ。
アマゴは別の季節・機会に狙えるのだから
今しかできないことに全力を注ぎたい。
そんな思いを抱えながらも、
狙い方はアマゴを狙うのと同じ。
サクラマスの狙い方がヤマメと同様であるように。
ここで喰わなきゃウソやろという場所でリュウキ70Sは喰われた。
間違いなくマス系の引きだったが、小ぶりであることもわかった。
慎重に寄せる。白く光る魚体を確認する。
ランディングネットに滑り込ませて、水際に座り込んだ。
アマゴ・・・・・・。
体高がある素晴らしい魚体。
本当だ。この川のアマゴは素晴らしいですねと心で語る。
この川に生息するアマゴはきっと数種あるはずだ。
天然魚、養殖魚、天然と養殖の交雑魚。
そのどれかはわからないが、
ここの川が育んだことに違いなく、
見事な魚体に見惚れた。
アマゴを食べればきっと美味しいだろう。
だけど僕は流れに帰す。
明らかに個体数が少ないと思われるだけに、
成魚を減らすことをしたくないからだ。
アマゴが産卵し、
子供達は川に残るものと、海へ旅立つものと別れる。
川に残ってそのままアマゴと呼ばれるもの。
降海して姿と名前を変えて川へ戻ってくるサツキマス。
一時的に川を豊かに見せかける養殖魚の放流よりも、
真の豊かな自然に触れられる日が来ることを願う。
2018年01月25日
釣場における深刻な問題
アマゴ(体側に朱点が散らばる)
※2013年ヤマメ生息地により釣獲。外来種。

ヤマメ(体側に朱点がない)
※2017年ヤマメ生息地により釣獲。在来種
アマゴ=サツキマス
降海し、遡上してきたものをサツキマスと呼ぶ。
ヤマメ=サクラマス
降海し、遡上してきたものをサラクマスと呼ぶ。
サクラマス ※2014年ヤマメ生息地により釣獲。在来種
ヤマメ生息地に外来種となるアマゴを放流している河川がある。
今年も釣客相手にせっせとアマゴを放流すると思われる。
(関係ないが観光客相手にアマゴ料理を宣伝している)
それのなにが深刻な問題なのか。
アマゴとヤマメは異種交配(交雑)すると言われる。
(別種であるイワナとヤマメが交雑するので、
亜種間なので当然あると考えられる)
これを遺伝子汚染とも。
オオクチバス・ブルーギルなどの密放流反対ポスターを
掲示している漁協が外来魚を放流しているというお粗末さ。
北米魚の肩を持つつもりは一切ないが、
遺伝子汚染はさらに深刻ではなかろうか。
ヤマメの姿が減る。
即ち遡上してくるサクラマスも減る。
「釣れないわ、釣れてもやけに小形のサクラマスだ」
そう嘆く釣客の声を何度か聞いたことがある。
これは交雑魚の影響だろうか。
サクラマス釣りが解禁になると、
漁協は当然の如くしっかりと遊漁料を徴収する。
現場徴収すべく常に水辺巡回だってしている。
でもサクラマスの釣客が支払ったお金の一部は
外来魚放流に充てられている。なんなんこの矛盾。
色々な魚釣りをしていて感じるのがサクラマス釣りの難しさ。
基本は捕食しない生態であると魚類学者は言う。
捕食しない魚に口を使わせる難しさ。
さらに他の魚類ほど頻繁な索餌回遊がないのでなおさらだ。
さらにさらに場所も限定的かつ季節限定、そして釣期が短い。
個体数が少ない魚類を釣るのは非常に難しく、
僕の知る河川のサクラマスに関しては、
アマゴ放流により無駄に難しい状況を生んでいる。
あまり簡単に釣れてしまうと飽きるのだけど、
それくらい数が回復してくれると自然観察者としては嬉しい。
ここで嘆いているだけではいけない。
漁協にも声を届けている。
なんせ僕の叔父は漁協関係者だ。
ヤマメが減るとサクラマスも減るという図式を
理解していないので説明もしている。
ヤマメがサクラマスだということを知らない釣客だって多い。
想像ではなくそんなものだ。
釣客がアマゴを求めている現状もある。
「釣れりゃなんでもいいから沢山放流しろ」
「食べるのが目的だから別にアマゴでもいい」
「サクラマス釣りはしないから知らん」
だったら釣堀でアマゴ釣れよと思うのだけど、
自然の渓流で釣りたいそうだ。
笑ってしまうと失礼になるので込み上げてくる笑いを堪える。
僕はヤマメ釣りもサクラマス釣りもする。
釣れりゃなんでもいいの意味を履き違えたくない。
ヤマメ生息地でアマゴが釣れたら違和感があるし嬉しくない。
ヤマメを食べるとサクラマスも減るので水に帰すし、
当然サクラマスを食べるとヤマメも減るので水に帰す。
北海道の川で沢山の渓流魚を釣った友人の
気づきが素晴らしかった。
これまで地元で釣れなかったのは
個体数の少なさによるものだったのか、と。
本当にそういうことだ。
ある程度の腕がある釣人なら
渓流魚を釣った数など腕自慢にならず、
それは自然の豊かさを示す数だと知っている。
僕の考えは正義であると信じている部分もありながら、
食べることが目的で釣りをする友人との付き合いもある。
自分の考えこそが正義であると考える同志だけの集まりは
危険である。原理主義がそうであるように。
色々な考えあってこその世の中であり、
自分の考えもこの先変化があるかもしれない。
『アマゴは悪くない。人間が悪いのだ』
確かにそうだが、その思考で停止したままではいけない。
ということで、
アマゴを放流したら
サクラマスが減るやんけと今年も声を上げる。
2017年06月08日
アマゴ生息圏にて

サツキマスとの出会いからしばらく経ったある日、
その流れからサツキマスの河川残留型であるアマゴに
出会いたい衝動に駆られ、
二十数年前に通った場所を再訪した。
当時はマッチ・ザ・ハッチ(マッチングザハッチやハッチマッチャーとも)に
燃え、夕刻のスーパーハッチに遭遇し、
昼間のシビアなライズに翻弄され苦汁を飲まされたこともあった。
そんな数々の思い出の景色は悪しきダム建設によって
全て湖底に沈んでいる。
ダムの餌食から辛うじて逃れた上流にある場所を通りかかると、
見覚えのある景色が残っていた。
魚釣りで初めてキャンプをした川原に違いなかった。
タープとテントを張り、夜はガソリン・ランタンの灯りでタイイングをした。
初めて巻いたエルクヘア・カディス。
アマゴは釣れなかったけれど、
自分で巻いたフライでカワムツが釣れてくれたのは嬉しかった。
そんな在りし日のフライフィッシングに傾倒していた頃には
想像できなかったルアー・タックルを僕は持ってきた。
ルアーフィッシングは勝負の早さがある。
近年の山釣りは魚の生息確認を主にしているため、
ルアーのテンポの良さを生かしている部分が大きい。
魚が釣れずともルアーを追尾する姿の確認をしやすいのも
最たる理由のひとつだ。
とはいえ、フライフィッシングの良さの一つに、
「一尾に辿り着くまでの遠回り」がある。
これはもう何物にも代えがたい魅力であることを
付け加えておきたい。
漁協によると、僕が入ろうとする場所にアマゴの成魚は
放流していないとのこと。
僕は成魚を放流していない場所を求めているので有益な情報である。
放流したよ、はいどうぞ!
どうもありがとう!
なのは子供と行くニジマスの管理釣場だけで十分だ。
「難しいよ」「放流場所でないと大釣りできないよ」
難しいのは承知の上だし、
大釣りを期待して来たわけではないので問題ない。
目的はアマゴの自然分布域で、アマゴを釣って確認したいのだ。
沢山のアマゴが釣れてくれればそれは自然環境が
整っているからであって釣りの腕がよろしいなど勘違いも甚だしい。
さらに大形が確認できれば
そこまで育つ環境が素晴らしいことになる。
もっとも悪しきダムによりアマゴが海に下れなければ
サツキマスの遡上も阻まれたランドロック(陸封)なのは大問題であるが。
簡単に人を寄せ付けない新緑に囲まれた川。
降り注ぐ木漏れ日。
透き通る水。
ルアーを流れに通す。
魚影は走らない。
川原には市販ミミズの新しい箱が転がり、
コンビニで購入したであろう飲料や食料のゴミが
所々に放置されていた。
魚影の薄さの理由も想像できる。
僕の知るいくつかの河川の規則では魚の持ち帰り自由。
尾数・体長制限などないので、
やりたい放題野放し状態先に釣って腹に入れたもん勝ち。
もちろん咎められることなどない。
ここで餌釣り愛好家の名誉の為に補足しておかねばなるまい。
先日サツキマス狙いで、どちらからともなく挨拶して
立ち話をした、他県から来ていた餌釣師。
僕と同じで年に一度サツキ詣でをしているとのこと。
クリールも持っていないし、サツキマスの釣法が
ルアーか餌なだけの違いであった。
そして話は外来魚のことに及び、
氏の通う川はアマゴ水系でありながら、
放流ヤマメが混じり、ニジマスまでもと溜息を漏らしていた。
法外な遊漁料(河川による)を払わされた挙句、
それが外来魚放流に使われるという皮肉な話。
釣れればなんでもいいのかという疑問を抱く、
僕と似た考えを持つ釣人との出会いは極々稀である。
いや、初めてかもしれない。
餌釣りだからといって規則を逆手にとり根こそぎ持ち帰るなどを
しない人だったし、僕の前に来るまで持っていた吸殻を
アシュトレイに収めていた。
ミソサザイが一生懸命さえずっている。
目を瞑って嘴を大きく開けている姿が想像できる。
撮ってやろうと探すが、
カマキリに捕獲されてしまうキクイタダキと並び、
日本で最小のミソサザイの姿を見つけるのは難しい。
そう思っているとカワガラスが岩の上から飛び立ち鳴いた。
そのうちヤマセミは現れてくれるだろうか。
瀬のひらきで小さな魚影がプラグに触れて翻った。
水に浸して濡らしたランディングネットに滑り込ませる。
鰭の美しいアマゴだった。
天然の意味は「人の手が加わっていない自然の状態」であるからして、
天然魚の定義の解釈は人それぞれあるに違いなく、
同一河川だとしても滝壺にいる魚を滝より上に放流すると、
その魚は天然でなくなると。確かに。
場所から推測するにこの魚は天然(ネイティヴ)ではないと思う。
その昔に人の手によって放たれたアマゴが
野生化(ワイルド)し、その子孫かもしれない。
成魚放流はしていないけれど、
幼魚放流はしているというオチかもしれない。
僕が知る限りでは、二十数年前から天然魚と
他水系養殖魚の交雑に警鐘を鳴らしているフライフィッシャーが居た。
いわゆる遺伝子汚染による弊害を説いていた。
例えばメダカが絶滅の危機に瀕しているニュースが流れた時、
各地の有志がメダカを増やし野に放った。
しかしメダカという名は総称であり、
自然分布域にはキタノメダカ、ミナミメダカという地域個体群がいる。
交雑することでそれぞれ備えていた特徴が消えてしまうのは
問題ではないだろうか。
「メダカみたいな魚」が小川に泳いでいればそれでいいのだろうか。
その川特有の特徴を備えた個体は絶滅し、
川はもう取返しのつかない状態なのかもしれない。
天然だろうが養殖だろうがアマゴはアマゴであり、
腹に入れば一緒で、魚なんて釣れればなんでもいいのだろうか。
複雑な思いに駆られながらも、アマゴに出会えたことは嬉しい。
撮影後、流れに帰っていくのを見届けた。
よもや養殖アマゴでないだろうなとの思いをひととき忘れて。
今日は小さいアマゴばっかりでした・・・・・・の一行で
終わるのが釣りブログの関の山。
自然観察者はそれで終わらない。
各河川のアマゴの特徴。また河川の状態を知る。
太古より続くサクラマスとサツキマスの生息圏競争。
限りなくヤマメに近いアマゴの存在。分布域の境界線。
地球温暖化が本当だとすればサツキマス生息圏は
さらに北へ進出するのか。
アマゴに非常に似たビワマスの起源はどうなのだろうか。
琵琶湖水系のアマゴは在来種なのだろうか。
山を上り川を歩き自然観察をしながら想像を巡らしたい。
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2017年04月07日
アマゴは太平洋側に注ぐ河川の魚やで

アマゴは太平洋・瀬戸内海に注ぐ河川に生息する魚で、
一生を河川で過ごす。また、降海型をサツキマスと呼ぶ。
せやからアマゴとサツキマスは同じ魚やで。
アマゴをあほみたいに持って帰って食ってたら
サツキマスは少なくなるやろし、
サツキマスを食ってたらアマゴも少なくなるやろな。
そーいや近年はアマゴを釣っても
日本海側で釣った外来魚(移入種)やったし、
ぜんぜん嬉しくなかったけど、
久しぶりに自然分布域で釣ったアマゴは嬉しかったなあ。
せやけど数が少なかったわ。
自分が行く河川は規則がゆるゆるで、
釣った分だけ持って帰ってOK!
さらには持ち帰りの体長制限なし!
根こそぎ釣ってもお咎めなし!
数が少なくなったら養殖物でもなんでも追加放流せんかい!
成魚放流のアマゴだろうがアマゴはアマゴじゃ!
年券の元を取るため釣って釣って釣りまくり!
サケ科も下アゴ持ってぶら下げるバス持ち!
変色して醜く変わり果てたアマゴを台所にぶちまけた
画像で釣果自慢!
それを見て凄い!と感じるようじゃ渓流の将来は暗いわ。
これからの時代は、こういうノリを恥ずかしいとか、
疑問を感じんとあかんで。
正常な自然環境の中やったらなんも難しい魚ちゃうし、
どれだけ釣ったかなんて自慢がいかに野暮かってことがわかるわ。