2016年01月10日
寒くてアツい夜
寒風吹きすさぶ夜。
強い風が体感温度を下げ、
露出している指先などは針が刺さっても酷く痛みを感じないようだった。
寒さに耐え潮位が上げてくるのを待つ。
いまは居ないと断言できる場所に鱸はやってくる。
捕食対象を求めて、必ず。
みるみる潮位が上がってきた。
群れか単独か、もうじき射程距離に入ってくるはず。
風に吹かれ不安定に動き続ける水面にプラグが漂い、
とうとう水面が激しく弾け、続けて風の音に負けない捕食音まで響いた。
でも、ロッドは曲がらない。悔しい表情のまま引くこと数メートル、
今度は魚体を露わにして水面が割れ、
続けて苦悶の声が漏れたがすぐ風に消された。
同じ個体か、奪い合いか。
また出た。さらに出る。どうやら複数尾いるらしかった。
しかしどこに投げてもというわけにはいかず、
いくつか点在する、ある地形変化に鱸が定位しているらしい。
それがわかったことと、盛期に劣らない捕食音が響き、
この時ばかりは寒さなど感じようはずもない。
斯くして寒中鱸釣初めの儀はボーズに終わったが、
終わりを告げたのは水面を荒立てる風が止んだことだった。
そして狂騒は夜のしじまに飲み込まれた。
帰宅してプラグを眺める。
なんと楽しい夜だったかと、次の釣行へ気持ちが繋がる。
Posted by Миру Україні at 07:07
│ルアー