2024年03月09日
イトウは心に宿る36
姫尻川水系マタシメリ川に見切りをつけ、次の一手を考える。
水嵩が増しているなら上流部へ向かうのが正解だと判断するが、
マタシメリの上流は期待できそうにないので、
姫尻川水系の上流部で繋がるチチハズミ川へ向かう。
チチハズミは数ヵ所の有望場所があり、
ここはイトウではなくエゾイワナ(アメマス)の生息が期待できそうだ。
次なる場所のGPS座標をタップして音声案内に従い移動開始。
「まったくいまどきの釣人は地図も使えんのか」と、
昔の釣師に白眼視されそうだ。
音声案内がいきなり国道を外れて牧場地帯の道を指示し、
広大な牧場に挟まれた道を進んでいると、
かなり遠くに白くて巨大な鳥とわかる二羽の姿を確認。
出た!タンチョウだ。
ぜひ野生のタンチョウを撮影したいと思っていたが、
有名なタンチョウ生息地に行かずして出会えるとは幸運。
この道を案内した奴ナイス。
車を路肩に寄せて急いで超望遠レンズに交換する手が
うまく動かない。おまけにカメラ設定まで狂っており、
ファインダーを覗いてシャッターボタンを押すと動画撮影が始まった。
車から降りず窓を開けて狙うが、
相手は警戒しているのかあまり近寄らせてくれない。
二羽と思っていたが若鳥が後ろに隠れているのが見え、もう最高。
それにしても親鳥はでかい。
淡路島と東播でコウノトリを撮影したが、
タンチョウはさらに大きさに勢いがあるように思えた。
ひとしきり撮影し、予想外の出来事に大満足したが、
実の所この一帯ではタンチョウが珍しくない事を知る由もなかった。
チチハズミ川の中流部に到着し、
川を眺めると流量は落ち着いているらしく、
酷い濁りもないため魚釣りは可能のようだ。
なにはともあれ移動の判断が正解だと思えた。
入川時の撮影、位置情報等々の儀式を終えて、
ここでもタックルはミスディミーナーSTのままいざ入川。
川岸は釣人が歩いた痕跡があり、
定期的に人の出入りがあるようだが、
その跡からして極一部の人間であろうことがうかがえた。
岸から投げることができず、
水深が浅いのでウェーディングで釣り進めることにしたが、
一歩川に踏み入れた瞬間、違和感が襲う。
川底が泥である。岸際は足が吸い込まれるように沈み、
慎重に踏み出した自分を褒めた。
これはどうやら湿原河川の一歩目は気をつけろと
僕の潜在意識に刷り込まれていたらしく、
その理由はこれだ。
『文豪たちの釣旅「佐々木栄松 カムイの輝く光を浴びて」』
大岡玲著
P156「・・・何ほどのこともなかろう、と内心高をくくり、というか、
心の準備をほとんどせずにうかうかと湿原の川辺に入りこんだ私を
待っていたのが、強烈な泥の吸引力だった・・・・・・
その途端、私の体重は思いがけないスピードで
私を泥の内部へと・・・・・・マンボNO.5が鳴り響き・・・」
大岡玲氏が挑戦したイトウ釣りでは、
二ページに渡って声を出して笑ったくだりがあり、
(ご本人様は笑いごとではなかったはずだ・・・・・・)
本を開こうとすればP156が勝手に開くほどお気に入りのページだ。
それにしても大岡玲氏の「強烈な泥の吸引力」
「私を泥の内部へと」と言った表現力の強さ豊かさ!
やっぱりもっとも好きな作家である。
https://amzn.to/4a6ZPdx
水嵩が増しているなら上流部へ向かうのが正解だと判断するが、
マタシメリの上流は期待できそうにないので、
姫尻川水系の上流部で繋がるチチハズミ川へ向かう。
チチハズミは数ヵ所の有望場所があり、
ここはイトウではなくエゾイワナ(アメマス)の生息が期待できそうだ。
次なる場所のGPS座標をタップして音声案内に従い移動開始。
「まったくいまどきの釣人は地図も使えんのか」と、
昔の釣師に白眼視されそうだ。
音声案内がいきなり国道を外れて牧場地帯の道を指示し、
広大な牧場に挟まれた道を進んでいると、
かなり遠くに白くて巨大な鳥とわかる二羽の姿を確認。
出た!タンチョウだ。
ぜひ野生のタンチョウを撮影したいと思っていたが、
有名なタンチョウ生息地に行かずして出会えるとは幸運。
この道を案内した奴ナイス。
車を路肩に寄せて急いで超望遠レンズに交換する手が
うまく動かない。おまけにカメラ設定まで狂っており、
ファインダーを覗いてシャッターボタンを押すと動画撮影が始まった。
車から降りず窓を開けて狙うが、
相手は警戒しているのかあまり近寄らせてくれない。
二羽と思っていたが若鳥が後ろに隠れているのが見え、もう最高。
それにしても親鳥はでかい。
淡路島と東播でコウノトリを撮影したが、
タンチョウはさらに大きさに勢いがあるように思えた。
ひとしきり撮影し、予想外の出来事に大満足したが、
実の所この一帯ではタンチョウが珍しくない事を知る由もなかった。
チチハズミ川の中流部に到着し、
川を眺めると流量は落ち着いているらしく、
酷い濁りもないため魚釣りは可能のようだ。
なにはともあれ移動の判断が正解だと思えた。
入川時の撮影、位置情報等々の儀式を終えて、
ここでもタックルはミスディミーナーSTのままいざ入川。
川岸は釣人が歩いた痕跡があり、
定期的に人の出入りがあるようだが、
その跡からして極一部の人間であろうことがうかがえた。
岸から投げることができず、
水深が浅いのでウェーディングで釣り進めることにしたが、
一歩川に踏み入れた瞬間、違和感が襲う。
川底が泥である。岸際は足が吸い込まれるように沈み、
慎重に踏み出した自分を褒めた。
これはどうやら湿原河川の一歩目は気をつけろと
僕の潜在意識に刷り込まれていたらしく、
その理由はこれだ。
『文豪たちの釣旅「佐々木栄松 カムイの輝く光を浴びて」』
大岡玲著
P156「・・・何ほどのこともなかろう、と内心高をくくり、というか、
心の準備をほとんどせずにうかうかと湿原の川辺に入りこんだ私を
待っていたのが、強烈な泥の吸引力だった・・・・・・
その途端、私の体重は思いがけないスピードで
私を泥の内部へと・・・・・・マンボNO.5が鳴り響き・・・」
大岡玲氏が挑戦したイトウ釣りでは、
二ページに渡って声を出して笑ったくだりがあり、
(ご本人様は笑いごとではなかったはずだ・・・・・・)
本を開こうとすればP156が勝手に開くほどお気に入りのページだ。
それにしても大岡玲氏の「強烈な泥の吸引力」
「私を泥の内部へと」と言った表現力の強さ豊かさ!
やっぱりもっとも好きな作家である。
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Posted by Миру Україні at 07:07
│イトウ