2024年03月11日
イトウは心に宿る38
見知らぬ男性がおもむろに
「あるで」
車で信号待ちをしていると窓をノックされ、
密売人が声を掛けてくる。
同じく信号待ちで窓をノックして
「ヤクルトいかがですか」と声を掛けてくるヤクルトおばさん。
もっと凄いのはマラソン大会のランナーと並走して
「ヤクルトいかがですか」と追いかけてくるヤクルトおばさん。
これらは決して大阪名物ではなく、
全国でもポピュラーな声掛けあるあるだと思うが、
ここ北海道で声を掛けてきた同年代と思しき男性の場合はこうだった。
「水は落ち着いていましたか」
まったく笑いのネタになりそうな言葉でもなく、
胸元に峡谷がのぞく女性でもない非常につまらない展開だが、
魚釣りができるか確認するための質問だったため、
いましがた釣りが成立したことを伝えた。
この一言二言のラリーで釣人はイントネーションの違いを
見抜いたらしく、車のナンバーを見て
「札幌ナンバー!?また遠い所から」と感心していたが、
おもいっきり関西弁やしとツッコミそうになった。
恐る恐る遠路はるばるやってきたことを伝えると、
遠方からやってきた僕を歓迎してくれた。
このご時世、新型コロナを警戒されてもおかしくないのに、
申し訳ない気持ちであるのとワクチン接種をしていることを伝え、
僕は胸を撫で下ろした。
釣人は、なぜこんな所まで魚釣りをしにきたのか尋ねるので、
簡潔に答えを述べると驚き、それは宿命だなと笑った。
そんな幼い頃からイトウに憧れていたならぜひ釣ってほしいと言ったが、
イトウは自分で辿り着きたいので、
くれぐれもポイントの教示はご遠慮願う旨を強調した。
それにしても違和感がある。
僕は釣人が発するイトウに違和感があり、
どうにも会話が頭に入ってこない。
イトウの発音はイトウだと思って生きてきたし、
発音が命のアナウンサーもイトウと発音する。
なのにこの釣人はイトウをイト・ウと発音する。
近い発音はカワウだが、もっとウを上げて発音する。
こ、これが本場の発音なのだろうか・・・・・・、
郷に入ればなんとやらだが、ウと言った途端に
失笑しそうで真似ることができやしない。
釣人は僕が憧れるイトウが泳ぐ川の畔に生まれ、
魚釣りを覚えたのもお互い幼少期だったこともあり、
釣り談義は同じ領域で展開する。
僕は最も気になっていた質問をした。
イトウは幻なのかと。
すると釣人は決して幻ではないと言い、その言葉に少し安堵した。
絶滅寸前の幻の魚なんていてはいけないのだ。
釣人は続けて面白い話をしてくれた。
イトウを釣るのは難しいことではなく、むしろ簡単だという。
まあ確かに聡明な顔つきでないのは一目瞭然だし、
その証拠にあらゆる生き物を捕食する習性がある。
まるでイトウ蔑視だが個人の感想だ。
ゆえに最盛期にもっとも興奮する狙い方で
イトウ釣りを楽しんでいるらしく、釣人特有の法螺話ではないかと
訝しんだのが見て取れたのか、
スマホに入っている証拠画像を見せてくれた。
スレた僕を驚かせる画像の数々に、
これは刺激が強すぎてネットで公開できないねと言うと、
そうだと笑った。
これらのイト・ウを承認欲求による一時の気の迷いで
SNSに投稿しようものなら、
程度の低い釣人は釣果を妬み、
厚顔無恥な釣人はポイント目的にすり寄ってくるに違いない。
しかしこんなに長いイトウを見たことも聞いたこともなく、
ちょっと次元が違う大きさだ。
イトウがここまで成長できる自然環境が整っていることは素晴らしく、
日本にこのような秘境が残っていたことに嬉しさを感じた。
どおりでさきほど僕が持ってきたランディングネットを見て、
これでは取込めないと笑ったことにも納得がいった。
巨大イトウを取り込むなら、
人間がすっぽり収まる特大ランディングネットが必要なわけだ。
しかもイトウが大きいだけでなく、
全てのイトウがあまりに格好良いのだ。
その謎はすぐに解け、一般的に目にするイトウより体高があることを伝えると、
「そうだろ」と言い、この地域特有だと言った。
そして釣人が集まる有名河川のイトウに触れ、
「あんなのはドジョウだ」と鼻で笑った。
炎上必至の発言だが、個人の感想なので批判は受付けない。
それにしても画像に写るルアー達よ、
いいわこれ、わかってるねーと思わず声が出て、
これで釣るのはエキサイティングだし、
古い釣人なのがバレるでと笑った。
すると、このルアーの良さがわかるかと釣人は喜び、
そりゃそうでしょと僕も笑う。
すると得意げに、ある月のこの時間帯にこのルアーをこうして使うと、
こんなサイズのイトウが水柱を・・・・・・!うわあ凄い、たまらん。
めっちゃわかる、本湖の琵琶湖大鯰もそれなんよ。
でもこのポイントだけは絶対教えられねえというから、
教えんでいいよと答えた。
釣人は僕のローディーラー・アウトレイジャスや、
ブラックシープ250にヘッドハンターSRV、
リーダーにFGノットにルアーなどを確認した後、
このタックルだったら大きいイト・ウも獲れると言い、
イトウを狙う本命河川はどこなのかと、
挑発的な質問をぶつけてきた。
「あるで」
車で信号待ちをしていると窓をノックされ、
密売人が声を掛けてくる。
同じく信号待ちで窓をノックして
「ヤクルトいかがですか」と声を掛けてくるヤクルトおばさん。
もっと凄いのはマラソン大会のランナーと並走して
「ヤクルトいかがですか」と追いかけてくるヤクルトおばさん。
これらは決して大阪名物ではなく、
全国でもポピュラーな声掛けあるあるだと思うが、
ここ北海道で声を掛けてきた同年代と思しき男性の場合はこうだった。
「水は落ち着いていましたか」
まったく笑いのネタになりそうな言葉でもなく、
胸元に峡谷がのぞく女性でもない非常につまらない展開だが、
魚釣りができるか確認するための質問だったため、
いましがた釣りが成立したことを伝えた。
この一言二言のラリーで釣人はイントネーションの違いを
見抜いたらしく、車のナンバーを見て
「札幌ナンバー!?また遠い所から」と感心していたが、
おもいっきり関西弁やしとツッコミそうになった。
恐る恐る遠路はるばるやってきたことを伝えると、
遠方からやってきた僕を歓迎してくれた。
このご時世、新型コロナを警戒されてもおかしくないのに、
申し訳ない気持ちであるのとワクチン接種をしていることを伝え、
僕は胸を撫で下ろした。
釣人は、なぜこんな所まで魚釣りをしにきたのか尋ねるので、
簡潔に答えを述べると驚き、それは宿命だなと笑った。
そんな幼い頃からイトウに憧れていたならぜひ釣ってほしいと言ったが、
イトウは自分で辿り着きたいので、
くれぐれもポイントの教示はご遠慮願う旨を強調した。
それにしても違和感がある。
僕は釣人が発するイトウに違和感があり、
どうにも会話が頭に入ってこない。
イトウの発音はイトウだと思って生きてきたし、
発音が命のアナウンサーもイトウと発音する。
なのにこの釣人はイトウをイト・ウと発音する。
近い発音はカワウだが、もっとウを上げて発音する。
こ、これが本場の発音なのだろうか・・・・・・、
郷に入ればなんとやらだが、ウと言った途端に
失笑しそうで真似ることができやしない。
釣人は僕が憧れるイトウが泳ぐ川の畔に生まれ、
魚釣りを覚えたのもお互い幼少期だったこともあり、
釣り談義は同じ領域で展開する。
僕は最も気になっていた質問をした。
イトウは幻なのかと。
すると釣人は決して幻ではないと言い、その言葉に少し安堵した。
絶滅寸前の幻の魚なんていてはいけないのだ。
釣人は続けて面白い話をしてくれた。
イトウを釣るのは難しいことではなく、むしろ簡単だという。
まあ確かに聡明な顔つきでないのは一目瞭然だし、
その証拠にあらゆる生き物を捕食する習性がある。
まるでイトウ蔑視だが個人の感想だ。
ゆえに最盛期にもっとも興奮する狙い方で
イトウ釣りを楽しんでいるらしく、釣人特有の法螺話ではないかと
訝しんだのが見て取れたのか、
スマホに入っている証拠画像を見せてくれた。
スレた僕を驚かせる画像の数々に、
これは刺激が強すぎてネットで公開できないねと言うと、
そうだと笑った。
これらのイト・ウを承認欲求による一時の気の迷いで
SNSに投稿しようものなら、
程度の低い釣人は釣果を妬み、
厚顔無恥な釣人はポイント目的にすり寄ってくるに違いない。
しかしこんなに長いイトウを見たことも聞いたこともなく、
ちょっと次元が違う大きさだ。
イトウがここまで成長できる自然環境が整っていることは素晴らしく、
日本にこのような秘境が残っていたことに嬉しさを感じた。
どおりでさきほど僕が持ってきたランディングネットを見て、
これでは取込めないと笑ったことにも納得がいった。
巨大イトウを取り込むなら、
人間がすっぽり収まる特大ランディングネットが必要なわけだ。
しかもイトウが大きいだけでなく、
全てのイトウがあまりに格好良いのだ。
その謎はすぐに解け、一般的に目にするイトウより体高があることを伝えると、
「そうだろ」と言い、この地域特有だと言った。
そして釣人が集まる有名河川のイトウに触れ、
「あんなのはドジョウだ」と鼻で笑った。
炎上必至の発言だが、個人の感想なので批判は受付けない。
それにしても画像に写るルアー達よ、
いいわこれ、わかってるねーと思わず声が出て、
これで釣るのはエキサイティングだし、
古い釣人なのがバレるでと笑った。
すると、このルアーの良さがわかるかと釣人は喜び、
そりゃそうでしょと僕も笑う。
すると得意げに、ある月のこの時間帯にこのルアーをこうして使うと、
こんなサイズのイトウが水柱を・・・・・・!うわあ凄い、たまらん。
めっちゃわかる、本湖の琵琶湖大鯰もそれなんよ。
でもこのポイントだけは絶対教えられねえというから、
教えんでいいよと答えた。
釣人は僕のローディーラー・アウトレイジャスや、
ブラックシープ250にヘッドハンターSRV、
リーダーにFGノットにルアーなどを確認した後、
このタックルだったら大きいイト・ウも獲れると言い、
イトウを狙う本命河川はどこなのかと、
挑発的な質問をぶつけてきた。
Posted by Миру Україні at 07:07
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