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2017年05月29日

八年目の川原

八年目の川原
記憶の海に漕ぎ出すと、
初めてサツキマスに挑戦してから今年は八年目になるらしい。
至上最高難度を誇ると思われたサクラマスは
五年目の正直となり、
さらに翌年はあっさりと二尾目を手中に収めることができた。
しかし、新緑眩い中に泳ぐ銀色の魚体はいまだ拝むこと叶わず。
今年八年目の川原に立った。
しばし目を瞑り祈るように流れに一礼をした。
空は重苦しく、時折恵みの雨を降らした。
この好機を狙ったスクランブルだったが、
現地に着くと今年も懲りずに僕を
出迎えてくれる釣友がいる。
サツキマス釣獲者の氏は年々実力を増しており、
THEボーズの異名をとる僕への冷やかしだろうか。
いや、サツキマスを釣ったあかつきには焼肉を奢ってくれるという
七年前の約束を氏は覚えてくれているのかもしれない。

これまで自分でかなり見て回ってきた川だったが、
氏は僕の知らない秘密の場所へと案内してくれた。
その中には、こんなとこ誰がわかるねん!という場所もあった。
秘密の場所シリーズはどこも魅力的な場所で、
釣れなおかしいという流ればかり。
一度、紛れもないそこそこの魚信を得たが、
一瞬の出来事で終わってしまっただけに、
本命だったのか、ランドロッカーだったのかはわからない。
ちなみに僕はガイド殺しの異名も持つ。
数々の案内された場所で結果を残せず、
今回もまた確固たる地位を築き上げることに成功した。
ここで氏と別れ、僕は川放浪へと旅立った。
数年前に見つけた自分好みの場所に立ち寄り、
辺りを眺めると川原に人影はなかった。
ここの流れはいつ来ても最高だ。
こんな流れの中で喰わせたら
最高に気持ちええやろなランキング上位に君臨する流れは
今年も健在だった。
ダウンクロスで流す。
これで釣れないということはサツキマスが居ないということである
といった判断のもと釣り下る。
ここは、ひとつの瀬が終わると、ちょいと地形変化があって、
また瀬が始まるのだけど、
この二つ目の瀬をしっかりやったことがなかった。
全体をよく見渡し観察してみると、
なぜいままでやらなかったのだろうとの思いに駆られた。
これはおる。絶対おる。
そういえば早朝、釣友に今日の僕はいつものように意気込みがなく、
気持ちがフラットだとほざいた。
こんな気持ちの時は過去に良い結果に繋がってきたのだと。
今日に備えていたミノーをスナップに掛けた。
一つ目の瀬でも使ったが、流れを泳ぎ切る能力が素晴らしく、
新たな引き出しが増えることになった
中古屋で見つけた未使用290円のミノー。それをきっかけに、
違うタイプのものを新品で二つ購入。
サツキマスを意識して作られたものらしく使い心地は秀逸だ。
一投目。
クロスで流れに投じたミノーを躍らせ、
喰わせの動きに移行した時に硬い衝撃が伝わり、
瞬間的にサツキマスであることを認めた。
引き味はサクラマスと酷似している。
二尺を超えるサクラマスとは重さが違い明らかに軽いのだけど、
水温が高いせいか、サツキマス特有なのか、
やけに走りに元気が漲っているのが特徴的だった。
ラインの水面を切る速度が速い。
こちらに向かってあっという間に瀬を横切る。
ニジマスだったらすでに水面を割って魚体を露わにしているだろうが、
そんな兆候も見られずやはりサツキマスに違いない。
その時、透明度の高い流れにサツキマスを見た。すごい体高だった。
息をのむ。サツキマスは僕の存在に気づいたか。
次に下流へ疾走した。それを強引に止めた。
八年掛かってようやく縮めたサツキマスとの距離。
これ以上僕から離れてほしくなかった。
弧を描いていたロッドがさらに輪を縮め、
次の瞬間、輪が弾け飛んだ。
・・・・・・!?
リールを巻くと抵抗を感じるものの、
それはラインが流れに持っていかれているからであり、
戻ってきたミノーを手に持ってみると、
フックが飴細工のように伸ばされていた。
それを見て、瀬の中に突っ伏しそうになった。
去年から、アカメを目の前でフックアウトさせ、
サクラマスもランディング前にフックアウトさせ、
サツキマスよ、お前もか。
いつしか精彩を欠いていることが自分でもわかる。

昼寝をした。
夕刻に起き、地元にお金を落とすべく、
鮎の甘露煮定食を注文した。
テーブルに運んできてくれたおねー様が、
「茶碗蒸しサービスです♪」と一言添えてくれた。
僕もお返しに、おねー様に一言添えてお支払いをした。

日没前の川原に立ち、僕は投げ続けた。
期待と焦燥に包まれながら、
静かに流れる時間は今年も同じだった。
あかん、またウェーダーに水が入ってきた。
これもお馴染みの台詞だった。
辺りが暗くなっても僕は投げていた。
居れば喰ってくるはずで、それは一投目なのだ。
だからもう釣れないとわかっているし、
暗い時に釣っても面白くない気がするのに投げ続けてしまった。
正直なところ悔しさはあまりない。清々しい気持ちである。
その理由は、ここの川の素晴らしさであることが大きい。
そこには間違いなく幻の魚が泳いでおり、
今年はしっかりと存在を確認できた。
心満たされる要素としては十分なのだ。
また帰ってくることを誓って、川へ一礼をした。



タグ :サツキマス

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Posted by Миру Україні at 07:07 │サツキマス
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