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2023年02月14日

イトウは心に宿る16

いまさら白状すると、北海道に憧れはあれど知識はかなり乏しい。
北海道の印象を述べるなら、辛うじてムツゴロウ王国と、
ドラマ北の国からの舞台がそうだというくらいのもので、
しかも不朽の名作と呼ばれて久しい北の国からを、
いまだ観たことがない。
あらためて北海道を調べると、
道東・道南・道央・道北と地域区分があり、
道西というのはないのね、という程度の知見しかなく、
誰かから北海道旅行の話を聞かされた時に、
函館から見る夜景が綺麗だったとか、
とにかく食べ物が美味しいという話は聞けども、
観光地なのでそれらは道南もしくは道央の話。
道東や道北となれば、車やバイクで北海道を一周する変わり者が
通過するだけという印象しかなかった。

釣行を予定している目的地周辺、
そうとはいってもひとつどころかふたつの県を合わせたほどの
面積があるが、つまびらかに調べていくと、
いかに広大であるかがわかり、
A地点からB地点までの移動に費やす時間だの距離が、
普段の感覚を超越している。
例えば現地の空港に正午過ぎに到着して、
予定している最寄りの川に立てるのは、太陽が西の彼方に沈んだあと。
飛行機が一日に一便しかないので、
これ以上の短縮は叶わず、すなわち日帰り釣行は不可能。
初日は一投もできず移動だけで終わる現実に、
舌打ちのひとつも出てしまう。
そうだとわかれば諦めの境地になり、新たな計画が浮かんでくる。
空港から目的地まで、
観光だの食事だので有意義な時間を過ごすことにする。

北海道釣行が決まってしばらく経った頃、
ロッドケースとバッカンを宅配便で送ろうとしている二人の釣人の姿を見た。
荷物を宿泊先に送る手段もあるのかと感心したので、
ちょいと話しかけてみたところ、壱岐へ行くという。
凄い、ヒラマサ狙いですねと通ぶってみると、
アジですよと笑顔が返ってきた。
ア、アジを狙いにそんな遠くまで・・・・・・壱岐はアジの聖地なのだろうかと
刹那に思い描くも、動揺するばかりで平静を装うのが精一杯だった。
アジを釣ろうとするなら、南港海釣り公園のような、
いわゆるベランダと呼ばれる
足場が良くて家族連れも快適に楽しめる環境が、
阪神間にいくつもあるじゃないか。
通天閣から686kmも先のアジを求めるなんて。
壱岐が彼らの実家なのか、はたまた会社の保養所があるのか、
いや、わかったぞ。
商店街で、今朝がた怒らせた奥さんの機嫌取りの為に買った
回転焼きひと箱に付いてきた抽選券で、
新井式回転抽選器を回すと金の玉が飛び出し、
壱岐ペア旅行券が当選したと推理する。
そこで、冷めた回転焼きだけ奥さんに渡し、
ペア旅行券はあつあつ野郎同士でむふふという算段に違いない。
跨いだアジングロッドをゆっくり押したり引いたりしてもらい、
ガイドがコツコツと当たる逢瀬の旅。

壱岐にメーター超級のアジが泳ぐならいざしらず、
アジを狙いにわざわざ飛行機で行くとはこれいかに。
昨今のアジング・ブームとやらはアジャーを駆り立て、
魚の棚に並ぶアジの開きでは満たされることがないらしい。
イワナと同じく、アジはアジでもアジという和名の魚はいないので、
実はカスミアジやロウニンアジだったりして。
そうなったらガイドリング径が大きくなり、
コツコツどころの騒ぎではないぞ。
オーシャントップから2番ガイドを通過する辺りで意識朦朧とするはずだ。

今度はお相手さんが、どこでなに釣りを?と聞いてきたので、
北海道でイトウ釣りですと答えると、二人同時に目を見張り、
え!?と発して前のめりになったので、
僕はイトウを知っているあなた達に驚いたと笑う。

アジとは違うとか、それは凄いとかおっしゃっていたが、
イトウみたいな釣れる保証がない博打釣りを北海道まで行ってやるなんて、
正気の沙汰とは思えないのかもしれない。
仮に直接そう言われても嫌な気持ちにならないし、
確かに自身もそうだと認識している。
釣堀の養殖イトウで満足できなければ、
協力者もお膳立ても排斥する釣り方を選んでいるのだから。

お互いに釣人の別れ際の挨拶「良い釣りを」で健闘を称え合ったが、
その週末、壱岐は大型台風が直撃した。
直前に断念、もしくは飛行機が欠航していればいいのだけど、
二人のその後を心配した。
自然の猛威を前に、無理に決行する勇気などいらない。
諦める勇気こそ必要だ。

僕は幼い頃より釣りを覚えたことで、水辺で過ごした時間は人一倍長い。
それこそ小学生の時の山釣りでは半分泳ぎながらやっていたし、
釣れなくなったら水の中に顔を浸けて魚を探した。
大人になれば夜間に水に浸かって糸を垂れることもすれば、
濁流を待ち侘びることもある。

一般的には危険とされる行為だけど、
これまで事故に繋がらず生き続けているのには理由がある。
僕が行く釣場のいくつかで、毎年悲しい水の事故が起きているが、
それでも僕が生きているのは運が良いからだけでなく、
水を恐れ、危険を知るからに他ならない。

子供の頃、父親に連れられ淀川水系で釣りをした時、
川は死と直結することを教わった。
僕の子供達には里川で遊ばせ、
瀬から一歩先が淵に滑り落ちる構造や、流れの危険を教えた。
海水浴では複雑な海流があること、引き波の怖さも。
僕も子供達もスイミング教室に通ったことで、
一般人より泳ぎは達者だけど、川で泳ぐことを恐れる。
繰り返すが、正しく恐れ危険を知り、
安全を確保してきたからこそ今日まで生きてきた自負がある。
魚釣りで命を落とすのは本懐だなんてアホくさい。

あぁそれなのにそれなのに、
エゾヒグマ生息地へ赴くのだと頭をもたげる。























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Posted by Миру Україні at 07:23 │イトウ
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