2024年01月18日
イトウは心に宿る29
たわわに実る果実を胸にもつ概(おおむね)ちゃんは、
はっきり言って魚釣りに理解がない。
休日は晴天予報だからのんびり魚釣りでもしようかという
提案のもとでレジャーフィッシングを楽しむならいざ知らず、
雨に打たれながら糸を垂らすだの、
増水が落ち着いたから緊急発進するだの、
凍てつく夜に水辺に立ったり、
仕事帰りが丁度時合いだから水辺でちょいとひと投げ・・・・・・
なんてことは許されない。
許可なくそのようなことが露見してしまえば、
ペッパーミル・パフォーマンスよろしく
圧縮袋が真空状態にされるが如しのお仕置きが待っている。
ただ、ちょっと頭がよろしくない釣人は経験上釣れるタイミングを
把握しており、同時に釣れない状況も知っているため、
休日だから魚釣りをするなどという生温いスタイルでは目的の魚を
釣り上げられない。
さらに同じ釣人でも理解されないかもしれないが、
僕と同じ領域に生きる釣人は、魚釣りという手段で魚の動きを知るので、
釣れないのを確認するための釣りもする。
釣れないことで、やっぱり産卵の為に移動する季節だなと納得し満足する。
明日仕事だろうが晩御飯を後回しにしようが、
濡れようが凍えようが優先すべき事柄はまず水辺に立ち投げること。
ちなみに僕の知っている鱸釣師も、
「この風、この肌触りこそ鱸釣りよ!!」といって
スクランブルされている。
もっともそのような気が触れたようなスタイルを一般人に説明を
試みようとも理解に苦しまれるのは明白であり、
しかしながら粘り強く説得を続けるのだけれど、
これを逃すと後悔するから行かせてほしいと力説するその口元が
綻んでいるらしく、その顔が憎たらしいと両の手で頬を掴まれる。
世の中には私と仕事どちらが大切なのかと問うてくる
非常に面倒な女性が実在するそうだが、
概ちゃんはそんな低次元な発言はしない。
魚釣りへの理解は乏しくも、僕の切実な気持ちを汲んでくれる。
ある時二人でお出掛けした帰りにまたとない気象条件だったので、
ちょっとだけ投げてくると僕だけ水辺へ向かい、
二投目で久しぶりに自己記録を更新する琵琶湖大鯰を釣り、
魚と一緒に撮影してもらいたく車中で待つ概ちゃんに
連絡をすると、暴風雨だったため拒否されたのだけど。
そもそも僕は異性のパートナーと共に魚釣りを楽しもうとの
考えを持ち合わせていない。
生きた魚を笑顔で掴める女性というのがどうも苦手で、
釣具屋でワームを吟味する姿より、コスメを選ぶ女性の姿が好きだ。
批判を覚悟で申し上げるならば、
釣りガールという人種より、
生きた魚を触ろうとしたら急に動いて小さな悲鳴を上げると同時に
出した手を引っ込める女性が好みだ。
カムルチーを愛でる僕と、いやーと腰が引けてる概ちゃん。
こういうのでいい。
そういったところで北海道へ釣具を持参するのは僕だけであり、
概ちゃんのスーツケースには衣類と生地面積の小さな下着だけなので、
スーツケースのもう片側には圧縮されたシュラフが鎮座した。
スーツケースに荷物を収めたなら、
ヘルスメーターに乗せて重量の最終確認をする。
ふんだんに釣具が収まる遊びに特化されたスーツケースは
航空会社が定めた規定重量まで僅かというところまで迫っていた。
これはお見事という他ないと喜び安堵していたのも束の間、
帰路のお土産の分がすっかり抜けていると概ちゃんに指摘される。
なるほど、
学生時代から夏休みの宿題は計画的かつ余裕を持って終え、
アルバイトで得たお金は使い切らず貯金し、
朝は時間を逆算して余裕をもって起床する優等生タイプの概ちゃん。
夏休みが終わっても宿題を提出する授業はまだ先なので大丈夫だの、
これまで借金こそしたことはないがアルバイトのお金は
ガソリン代に化け、
起床は朝食の時間を食い潰してでも布団の中で
形を失ったスライムのようになっていたい僕にはお土産概念など毛頭なかった。
ほんまそういうところ!と呆れ返られようが
釣具を死守せねばならず、
さらに僕の手荷物分はミラーレス一眼とレンズで
目一杯だったので、
お土産は概ちゃんの手荷物分に任せることにした。
僕は旅立ちの日まで毎日を楽しんできた。
幸い南海トラフ大地震で大地が揺らされることなく、
出発日を迎えることになる。
はっきり言って魚釣りに理解がない。
休日は晴天予報だからのんびり魚釣りでもしようかという
提案のもとでレジャーフィッシングを楽しむならいざ知らず、
雨に打たれながら糸を垂らすだの、
増水が落ち着いたから緊急発進するだの、
凍てつく夜に水辺に立ったり、
仕事帰りが丁度時合いだから水辺でちょいとひと投げ・・・・・・
なんてことは許されない。
許可なくそのようなことが露見してしまえば、
ペッパーミル・パフォーマンスよろしく
圧縮袋が真空状態にされるが如しのお仕置きが待っている。
ただ、ちょっと頭がよろしくない釣人は経験上釣れるタイミングを
把握しており、同時に釣れない状況も知っているため、
休日だから魚釣りをするなどという生温いスタイルでは目的の魚を
釣り上げられない。
さらに同じ釣人でも理解されないかもしれないが、
僕と同じ領域に生きる釣人は、魚釣りという手段で魚の動きを知るので、
釣れないのを確認するための釣りもする。
釣れないことで、やっぱり産卵の為に移動する季節だなと納得し満足する。
明日仕事だろうが晩御飯を後回しにしようが、
濡れようが凍えようが優先すべき事柄はまず水辺に立ち投げること。
ちなみに僕の知っている鱸釣師も、
「この風、この肌触りこそ鱸釣りよ!!」といって
スクランブルされている。
もっともそのような気が触れたようなスタイルを一般人に説明を
試みようとも理解に苦しまれるのは明白であり、
しかしながら粘り強く説得を続けるのだけれど、
これを逃すと後悔するから行かせてほしいと力説するその口元が
綻んでいるらしく、その顔が憎たらしいと両の手で頬を掴まれる。
世の中には私と仕事どちらが大切なのかと問うてくる
非常に面倒な女性が実在するそうだが、
概ちゃんはそんな低次元な発言はしない。
魚釣りへの理解は乏しくも、僕の切実な気持ちを汲んでくれる。
ある時二人でお出掛けした帰りにまたとない気象条件だったので、
ちょっとだけ投げてくると僕だけ水辺へ向かい、
二投目で久しぶりに自己記録を更新する琵琶湖大鯰を釣り、
魚と一緒に撮影してもらいたく車中で待つ概ちゃんに
連絡をすると、暴風雨だったため拒否されたのだけど。
そもそも僕は異性のパートナーと共に魚釣りを楽しもうとの
考えを持ち合わせていない。
生きた魚を笑顔で掴める女性というのがどうも苦手で、
釣具屋でワームを吟味する姿より、コスメを選ぶ女性の姿が好きだ。
批判を覚悟で申し上げるならば、
釣りガールという人種より、
生きた魚を触ろうとしたら急に動いて小さな悲鳴を上げると同時に
出した手を引っ込める女性が好みだ。
カムルチーを愛でる僕と、いやーと腰が引けてる概ちゃん。
こういうのでいい。
そういったところで北海道へ釣具を持参するのは僕だけであり、
概ちゃんのスーツケースには衣類と生地面積の小さな下着だけなので、
スーツケースのもう片側には圧縮されたシュラフが鎮座した。
スーツケースに荷物を収めたなら、
ヘルスメーターに乗せて重量の最終確認をする。
ふんだんに釣具が収まる遊びに特化されたスーツケースは
航空会社が定めた規定重量まで僅かというところまで迫っていた。
これはお見事という他ないと喜び安堵していたのも束の間、
帰路のお土産の分がすっかり抜けていると概ちゃんに指摘される。
なるほど、
学生時代から夏休みの宿題は計画的かつ余裕を持って終え、
アルバイトで得たお金は使い切らず貯金し、
朝は時間を逆算して余裕をもって起床する優等生タイプの概ちゃん。
夏休みが終わっても宿題を提出する授業はまだ先なので大丈夫だの、
これまで借金こそしたことはないがアルバイトのお金は
ガソリン代に化け、
起床は朝食の時間を食い潰してでも布団の中で
形を失ったスライムのようになっていたい僕にはお土産概念など毛頭なかった。
ほんまそういうところ!と呆れ返られようが
釣具を死守せねばならず、
さらに僕の手荷物分はミラーレス一眼とレンズで
目一杯だったので、
お土産は概ちゃんの手荷物分に任せることにした。
僕は旅立ちの日まで毎日を楽しんできた。
幸い南海トラフ大地震で大地が揺らされることなく、
出発日を迎えることになる。
Posted by Миру Україні at 07:07
│イトウ