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2024年03月19日

イトウは心に宿る42

常連客のひとりが、この地鳴きは
シマフクロウが降りてくる合図だと言った。
その言葉は突如として現実のものとなり、
18:15雌のシマフクロウが目の前に現れた。
初めて見るその姿たるや神々しく、
アイヌ民族からコタン・クルカムイ(部落の神様)
としてあがめられてきた事実にも頷ける。
全長約70cm、翼を広げると約180cmにもなる国内最大のフクロウで、
鋭い眼光、強暴なるカギ爪、恐れを知らない佇まい、
それでいて美しい模様の羽を全身に纏い、
北海道水系の頂点に君臨する者である威厳に満ち溢れている。

シマフクロウの一挙一動をレンズ越しに追い、
黙秘権を行使したように口をつぐみ、
ミラーレス一眼の控えめな電子シャッター音が鳴り続ける。
泳ぐヤマメを捕まえ丸呑みし、
19:55遡上するサクラマスの腹に鋭い爪を食い込ませて捕らえ、
一同を驚かせた。

想像を遥かに超えた野生の営みを間近に観察でき、
高い入場料は保証のない博打だと思っていたのに、
料金の頭に1を足しても納得いく価格だ。

常連方いわく、僕達四人が並ぶ撮影位置は本当に好場所らしく、
他の場所は死角が大きくシマフクロウを追い切れないそうだ。
案内してくれたGGもとい男性スタッフが言った
「本当はここが一番いい」は本当だった。
後日談だが、この場所とスタッフがテレビ番組で紹介されているのを観て、
お変わりない姿が嬉しかった。

これだけで来た甲斐があったと喜んでいたのに、
21:14なんと母鳥の姿に安心したのか、
幼鳥(アオバズク大)二羽もやってきた。
これには常連様も声を出して驚き、
右隣りの方が
「奇跡だ。十数年撮影してきて三羽が揃うのを見たのは初めてだ」と言う。
今度は僕の方を見て
「初めて来たのに・・・・・・とてつもない強運の持ち主だよ」
と半ば呆れるように言い
「二度とないかも知れないからとにかく撮りまくろう」と急かした。
これも僕を喜ばせるリップサービスでしょと疑いそうになったが、
この方はさきほどまで、ほとんどシャッターを押していなかったのに、
今はファインダーを覗き込んだまま無言で連写しているので、
どうやら本当のことらしかった。
そもそもシマフクロウの雛は一羽しか育たないらしく、
今年は二羽とも育っていることが話題になっていたそうだ。

母親が子供達に給餌する姿が微笑ましく、
ひとしきりシャッターを押したあとは動画撮影に切り替えた。
息を止めてシャッターを押していた時と違い、
体の力を抜いて普段お目に掛かれない光景を客観的に眺めた。
シマフクロウを一目見られたら好運と思っていたのが、
ヤマメを捕獲して食べる姿や、飛翔、枝止まり、
さらには雛まで出現して給餌まで。
北海道水系の食物連鎖の頂点に君臨する天然記念物シマフクロウを
とことん堪能して感慨無量。

奇跡の時間は続くが似たようなシーンが繰り返されるので、
ちょいとコーヒー・ブレイク宣言。
コーヒーを飲みに行く際は一旦屋外に出るのだが、
左隣の方が一緒について行くと言った。
な、なぜに・・・・・・野郎と歩く趣味はないと一瞬戸惑ったが、
ついて来る理由はヒグマの存在だった。
右隣りの方が笑いながら「ヒグマがいるよ」と。
今いる場所から撮影したヒグマ画像を見せられたら、
後退りして返す言葉が見つからなかった。
やっぱりこの地は別格で、危険の境界線の上で生活をしている。
命がけで飲んだホットコーヒーは美味しさに輪をかけた。

時間に制約のない永遠の夏休みを満喫中の
常連御三方は撤退することになり、
またどこかで会う約束をし、
あとは僕が好場所を独り占めすることになった。

暖房の温風が体をほぐし、穏やかに微睡む。
たまに薄目で窓の外を確認してまた微睡む。
好きなことを好きなだけ心行くまで楽しむ贅沢。

2:11夢か幻か、雌より小振りで雛より大きい
シマフクロウが飛来した。
どうも思考回路が鈍くなっているらしく、
その正体にしばらく気づかなかったが、
ぼんやり眺めて気がづいた。シマフクロウの雄親だ。
親子四羽が揃っていることに驚き、ようやく目が覚めた。
三羽でも奇跡だと言われたのに、これはどう例えよう。
もはやこの瞬間を撮影できる者は僕唯一人。
雌親が雛に給餌していたように、
雄親もヤマメを捕まえて雛に与えようとするのだが、
雛達はそれを拒んで飛んで行き、
銜えたままのヤマメをどうしようか戸惑う雄親を見て
僕はずっこける。
そんなことを二回繰り返し、
野鳥の世界にもある親の心子知らずの言葉が浮かんできた。

天然記念物シマフクロウ親子の貴重な記録を残すこができ、
一生の思い出を作ることができた。
辺りが白み始める頃にはシマフクロウ一家は森に帰り、
一日の終わりを告げる朝陽が昇ろうとしていた。

ひと眠りする前に、
白光錦川から遠くない川で朝まずめの魚釣りをしたくなり、
あの魚種を狙うことにした。
僕の中でイトウが陽ならその魚は陰。
エゾイワナ(アメマス)のように北海道水系のみに生息する、
これまで表に出すことがなく心に秘めていた意中の魚。
イトウさておき、北海道に来たならこの魚は絶対に釣る。








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Posted by Миру Україні at 07:07 │イトウ
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