2024年03月14日
イトウは心に宿る40
なんだったらイト・ウは年間で少しの間しか狙わないらしく、
もっともその一番美味しい釣期は地元釣人の特権であり、
湿原の川は雪と氷の要塞に鎖されるため、
余所者が挑戦を試みたならば命を落とすことだろう。
さすが北の魚、水温に反比例して高活性なのか。
そんな北の釣人達が夢中になる魚は外来魚。
それは2項で述べた、ブレットンを喰ってくれた魚種で、
このチチハズミ川をはじめ色々な川で野生化および繁殖しており、
しかも俄かに信じられないサイズが泳ぐという。
降海型ならまだしも、そんな大形がいる雰囲気はなかったことを伝えると、
僕が見た場所はほんの一部であり、
まだ水嵩が高いので潜む場所も不明瞭らしく、
水が落ち着けば樹木に隠れて息を潜めて待っていると、
ある場所でヤツが浮いてくるそうだ。
そいつは非常に警戒心が強くルアーは喰わないので、
羽化して流下する水生昆虫に合わせたマッチ・ザ・ハッチで狙い、
ただし、倒木や流木などが複雑に絡むややこしい場所なので、
フライタックルでまともにファイトできようはずもなく、
魚が走れば自分は泳いで魚を追いかけるスパルタン・スタイル。
なのでイト・ウの引きは目じゃないと笑った。
ちなみにその信じられないサイズをまだ釣り上げられないらしく、
そりゃ夢中になるわと僕も笑った。
魚釣りは釣れても行きたくなり、釣れないとさらに燃える。
なぜ釣れない、次の一手をどうするか、そうこうしているうちに、
うっかり四十余年も魚釣りに染まったままだ。
そんな釣れない巨大魚のジグソーバズル80x70sizeを
部屋の壁に飾ってある。Randy McgovernのSwim Meet 、
記憶が正しければ1996年頃に作ったはずだ。
最後に釣人は、僕が旅の間に訪れる湿原河川について、
それらはヒグマの巣窟であり、足跡をいくらでも見るそうで、
僕のヒグマ対策は万全か不安な表情で覗きこみ、
本当に危ないからなと厳しい口調で言った。
ここまで言われると僕は急に不安になった。
すると思い立ったように釣人は後ろに停めてある
黒い四輪駆動車に戻り、
あったあったなんて言いながら熊除けの御利益がある
高額な壺を手に、
「今なら特別に金利・手数料は当者負担の50%オフにさせていただき、
そしてなんと!秋の下取り祭り開催中なので、
いいですか!?お手持ちの壺を三万円で下取りします!
この機会をお見逃しなく!で、いま現金はお持ちでしょうか?」
なんてことを言い出すのではないかと身構えた。
だがよくよく聞いてみると今だけのお買い得ならと
即決してしまいそうだ。
ただ残念なことに自慢の愛壺は家に置いてきたので
下取りしてもらえない。
実のところ批判を恐れず言うならば僕はヒグマと遭遇したい。
襲われたくないけれど撮影はしたいのだ。
よって僕は地元釣人のヒグマ対策より、
遭遇率や出没ポイントや過去の経験談を聞きたかったので、
これ幸いとばかりに、
四十余年も水辺に立ってヒグマに遭遇したことは?
「ない」
ないんかーい。
でもあれでしょ、
数秒後に襲われるかもしれないってことやね?
釣人は「そうだ」と神妙な面持ちで頷いた。
釣人はおもむろにタバコに火を付けた。
これは残念、喫煙の許可を求めて欲しかった。
ご遠慮願いますと言ったのに。
吸っていいですかと聞かれたら誰しもどうぞと言いがちだが、
嫌に決まっている。心の中でお気の毒と蔑んでいる。
これまで会話をしている間は感染予防で距離を空けていたが、
健康を害する臭い煙が髪や服に付着しないよう風上に回った。
その後、当然のように吸殻を草むらに放り投げた。
さすが安定の喫煙者クオリティ、期待を裏切らないクズ行動。
箱に書かれている文章が理解できないのも頷け、
人前でこれなのだから普段から無神経なことをしているに違いなく、
大損していることにも気付かない。そして誰も教えてくれない。
北の大地の釣人との交流時間が興ざめに終わった。
チチハズミ川のエゾイワナとの出会いに感謝し、
河川の増水や次なる目的を鑑みて計画を頭の中に巡らせる。
やっぱりイトウは最後でいいにして、
次なる目的はヤツだ、イトウさておきヤツにする。
日本の固有種で北海道の川だけに生息し、
生息数はイトウより遥かに少ない希少種だ。
ヤマメやアメマスを丸呑みしサクラマスをも襲う、
サディスティックな部分に惹かれる。
時計を確認すると時刻は正午、
いま出発すれば夕方までに現地へ到着できるはず。
お留守番中の概ちゃんに、
断腸の思いで今夜は帰らないと連絡を入れ、
白光錦川へ向かった。
すぐに返信があり、行間から喜びが滲み出ていると書かれていた。
もっともその一番美味しい釣期は地元釣人の特権であり、
湿原の川は雪と氷の要塞に鎖されるため、
余所者が挑戦を試みたならば命を落とすことだろう。
さすが北の魚、水温に反比例して高活性なのか。
そんな北の釣人達が夢中になる魚は外来魚。
それは2項で述べた、ブレットンを喰ってくれた魚種で、
このチチハズミ川をはじめ色々な川で野生化および繁殖しており、
しかも俄かに信じられないサイズが泳ぐという。
降海型ならまだしも、そんな大形がいる雰囲気はなかったことを伝えると、
僕が見た場所はほんの一部であり、
まだ水嵩が高いので潜む場所も不明瞭らしく、
水が落ち着けば樹木に隠れて息を潜めて待っていると、
ある場所でヤツが浮いてくるそうだ。
そいつは非常に警戒心が強くルアーは喰わないので、
羽化して流下する水生昆虫に合わせたマッチ・ザ・ハッチで狙い、
ただし、倒木や流木などが複雑に絡むややこしい場所なので、
フライタックルでまともにファイトできようはずもなく、
魚が走れば自分は泳いで魚を追いかけるスパルタン・スタイル。
なのでイト・ウの引きは目じゃないと笑った。
ちなみにその信じられないサイズをまだ釣り上げられないらしく、
そりゃ夢中になるわと僕も笑った。
魚釣りは釣れても行きたくなり、釣れないとさらに燃える。
なぜ釣れない、次の一手をどうするか、そうこうしているうちに、
うっかり四十余年も魚釣りに染まったままだ。
そんな釣れない巨大魚のジグソーバズル80x70sizeを
部屋の壁に飾ってある。Randy McgovernのSwim Meet 、
記憶が正しければ1996年頃に作ったはずだ。
最後に釣人は、僕が旅の間に訪れる湿原河川について、
それらはヒグマの巣窟であり、足跡をいくらでも見るそうで、
僕のヒグマ対策は万全か不安な表情で覗きこみ、
本当に危ないからなと厳しい口調で言った。
ここまで言われると僕は急に不安になった。
すると思い立ったように釣人は後ろに停めてある
黒い四輪駆動車に戻り、
あったあったなんて言いながら熊除けの御利益がある
高額な壺を手に、
「今なら特別に金利・手数料は当者負担の50%オフにさせていただき、
そしてなんと!秋の下取り祭り開催中なので、
いいですか!?お手持ちの壺を三万円で下取りします!
この機会をお見逃しなく!で、いま現金はお持ちでしょうか?」
なんてことを言い出すのではないかと身構えた。
だがよくよく聞いてみると今だけのお買い得ならと
即決してしまいそうだ。
ただ残念なことに自慢の愛壺は家に置いてきたので
下取りしてもらえない。
実のところ批判を恐れず言うならば僕はヒグマと遭遇したい。
襲われたくないけれど撮影はしたいのだ。
よって僕は地元釣人のヒグマ対策より、
遭遇率や出没ポイントや過去の経験談を聞きたかったので、
これ幸いとばかりに、
四十余年も水辺に立ってヒグマに遭遇したことは?
「ない」
ないんかーい。
でもあれでしょ、
数秒後に襲われるかもしれないってことやね?
釣人は「そうだ」と神妙な面持ちで頷いた。
釣人はおもむろにタバコに火を付けた。
これは残念、喫煙の許可を求めて欲しかった。
ご遠慮願いますと言ったのに。
吸っていいですかと聞かれたら誰しもどうぞと言いがちだが、
嫌に決まっている。心の中でお気の毒と蔑んでいる。
これまで会話をしている間は感染予防で距離を空けていたが、
健康を害する臭い煙が髪や服に付着しないよう風上に回った。
その後、当然のように吸殻を草むらに放り投げた。
さすが安定の喫煙者クオリティ、期待を裏切らないクズ行動。
箱に書かれている文章が理解できないのも頷け、
人前でこれなのだから普段から無神経なことをしているに違いなく、
大損していることにも気付かない。そして誰も教えてくれない。
北の大地の釣人との交流時間が興ざめに終わった。
チチハズミ川のエゾイワナとの出会いに感謝し、
河川の増水や次なる目的を鑑みて計画を頭の中に巡らせる。
やっぱりイトウは最後でいいにして、
次なる目的はヤツだ、イトウさておきヤツにする。
日本の固有種で北海道の川だけに生息し、
生息数はイトウより遥かに少ない希少種だ。
ヤマメやアメマスを丸呑みしサクラマスをも襲う、
サディスティックな部分に惹かれる。
時計を確認すると時刻は正午、
いま出発すれば夕方までに現地へ到着できるはず。
お留守番中の概ちゃんに、
断腸の思いで今夜は帰らないと連絡を入れ、
白光錦川へ向かった。
すぐに返信があり、行間から喜びが滲み出ていると書かれていた。
Posted by Миру Україні at 07:07
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