2025年01月11日
イトウは心に宿る47
47
積年の願いであったオショロコマとの出会いを遂げ、
しばし海を眺めながら単調なドライブが始まった。
移動を開始してようやくスマホの電波が入り、
圏外に居た時に溜まっていた連絡が一斉に届いた。
中でも、待たせている概ちゃんには心配を掛けたようで、
ちゃんと生きていることの証明を返信した。
まだ一日が始まったばかりなのに、
概ちゃんが待つ宿泊先まで延々とステアリングを握らねばならない苦痛の距離。
何十回でも言おう、北海道の道は恐ろしく退屈で、
願わくばツーリングやドライブなどで訪れたくない。
制限速度は一般道のそれであるため、窓に映る変化に乏しい景色は動かず、
そのくせ大型野生動物の飛び出しに警戒せねばならず緊張の糸を緩められず疲れる。
道の駅だのコンビニだのドライブインで気分転換もできない近代における不便の象徴。
見えない檻への収監。
いくら本音をぶちまけても北の地は微動だにせず虚無感が漂い、
この状況をなんとか褒めようとしても考えあぐねてしまう。
僅かな希望としてはキタキツネを撮影することだが、
助手席で出番を待っている超望遠レンズを装着したカメラまで
欠伸をしているようだった。
最短距離で概ちゃんが待つ宿泊地へ向かいたいところだが、
到着予定時間が夕刻に迫りそうなことに気付いた。
いくら一週間の滞在予定であっても、
移動だけで遊びの時間が削られる事に不満を覚えた。
ここでマップを確認して現在地と周辺を眺めると、
百キロばかり先に面白げな地形が見つかったことで悪巧みが露見した。
僕の持つ羅針盤がある地点を指した。
その場所はラグーンと呼ばれ、日本でも数少ない地形。
確かラグーンなる言葉を知ったのは中学生の頃で、
アドベンチャー・ゲームブック『魔人の沼』という書籍だったと記憶する。
小説でありながら選択肢によって指定されたページに飛び、
枝分かれしながら物語を完結させる画期的な書籍だった。
内訳は魔人の沼と題する通り湿地帯を舞台にした冒険で、
その中にラグーンの文字があったはずだ。
いまの地点から日本のラグーンが百キロ先にあることを知り、
予定になかった水辺に立つことに心ときめかせ、
なにも迫りこないつまらない直線に転がり出した。
するとナビゲーション・システムが感情のない音声で、
何十キロ道なりですなんて、眠りに誘引するようなことを耳打ちしてきた。
空は相変わらず晴れることなく、信号機の色も久しくみない。
ようやく遥か遠くに湿地のようなものが見えてきたが、
果たして目的地なのか、確認しようにもなかなか近寄ってこない。
マップを確認するとどうやらラグーンらしいことは間違いなさそうだが、
距離感を掴めずにいた。
そもそもラグーンそのものが想像を超えた広さだった。
道はラグーンにぶつかるが、そこから展望できないため大きく迂回する道を
進み、全体を見渡せる場所まで移動した。
水辺を探索しようにも水辺へ出ることは困難を極め、
魚釣りができるような場所はないように思えた。
引き潮だったが、
いつかやった九州の干潟で潟スキーに乗って顔も体も泥だらけになり、
哄笑しながらムツゴロウやトビハゼを手掴みできるような雰囲気はひと欠片もなく、
初めて拝むラグーンはひたすら寂寞としていた。
期待していた風景美などなく、
自然に平等であれば人の存在など威を借る狐でしかないと思わせる景色だった。
日中を思わせない空の暗さが記憶の底に沈んでいた魔人の沼を引き寄せ、
カメラを起動させることなくそこに佇んだ。
積年の願いであったオショロコマとの出会いを遂げ、
しばし海を眺めながら単調なドライブが始まった。
移動を開始してようやくスマホの電波が入り、
圏外に居た時に溜まっていた連絡が一斉に届いた。
中でも、待たせている概ちゃんには心配を掛けたようで、
ちゃんと生きていることの証明を返信した。
まだ一日が始まったばかりなのに、
概ちゃんが待つ宿泊先まで延々とステアリングを握らねばならない苦痛の距離。
何十回でも言おう、北海道の道は恐ろしく退屈で、
願わくばツーリングやドライブなどで訪れたくない。
制限速度は一般道のそれであるため、窓に映る変化に乏しい景色は動かず、
そのくせ大型野生動物の飛び出しに警戒せねばならず緊張の糸を緩められず疲れる。
道の駅だのコンビニだのドライブインで気分転換もできない近代における不便の象徴。
見えない檻への収監。
いくら本音をぶちまけても北の地は微動だにせず虚無感が漂い、
この状況をなんとか褒めようとしても考えあぐねてしまう。
僅かな希望としてはキタキツネを撮影することだが、
助手席で出番を待っている超望遠レンズを装着したカメラまで
欠伸をしているようだった。
最短距離で概ちゃんが待つ宿泊地へ向かいたいところだが、
到着予定時間が夕刻に迫りそうなことに気付いた。
いくら一週間の滞在予定であっても、
移動だけで遊びの時間が削られる事に不満を覚えた。
ここでマップを確認して現在地と周辺を眺めると、
百キロばかり先に面白げな地形が見つかったことで悪巧みが露見した。
僕の持つ羅針盤がある地点を指した。
その場所はラグーンと呼ばれ、日本でも数少ない地形。
確かラグーンなる言葉を知ったのは中学生の頃で、
アドベンチャー・ゲームブック『魔人の沼』という書籍だったと記憶する。
小説でありながら選択肢によって指定されたページに飛び、
枝分かれしながら物語を完結させる画期的な書籍だった。
内訳は魔人の沼と題する通り湿地帯を舞台にした冒険で、
その中にラグーンの文字があったはずだ。
いまの地点から日本のラグーンが百キロ先にあることを知り、
予定になかった水辺に立つことに心ときめかせ、
なにも迫りこないつまらない直線に転がり出した。
するとナビゲーション・システムが感情のない音声で、
何十キロ道なりですなんて、眠りに誘引するようなことを耳打ちしてきた。
空は相変わらず晴れることなく、信号機の色も久しくみない。
ようやく遥か遠くに湿地のようなものが見えてきたが、
果たして目的地なのか、確認しようにもなかなか近寄ってこない。
マップを確認するとどうやらラグーンらしいことは間違いなさそうだが、
距離感を掴めずにいた。
そもそもラグーンそのものが想像を超えた広さだった。
道はラグーンにぶつかるが、そこから展望できないため大きく迂回する道を
進み、全体を見渡せる場所まで移動した。
水辺を探索しようにも水辺へ出ることは困難を極め、
魚釣りができるような場所はないように思えた。
引き潮だったが、
いつかやった九州の干潟で潟スキーに乗って顔も体も泥だらけになり、
哄笑しながらムツゴロウやトビハゼを手掴みできるような雰囲気はひと欠片もなく、
初めて拝むラグーンはひたすら寂寞としていた。
期待していた風景美などなく、
自然に平等であれば人の存在など威を借る狐でしかないと思わせる景色だった。
日中を思わせない空の暗さが記憶の底に沈んでいた魔人の沼を引き寄せ、
カメラを起動させることなくそこに佇んだ。
2025年01月10日
イトウは心に宿る46
上流へ向けて歩みを進めれば魅惑の溜まりがいくつもあり、
ひとつ大きな岩を迂回して段差を越えると、
これまでより長くて幅広い、見事な渓相が目の前に現れた。
オショロコマの全長もこれまでより成長したものがいそうな雰囲気だった。
奥にある小さな落ち込みには幾筋もの流れが同時に落ちて広い白泡を作り、
そこから自分の立つところまでは一定して浅く単調な流れのようだが、
じっくり流れを読むことでプラグを通すコースを見極め、
誘いから喰わせる場所までをしっかり思い浮かべた。
手前から探るなんてことをせず、
おもいきって白泡の底に潜むオショロコマを誘い、
流速が速くなる瀬に入るまでの短い区間で喰わせる。
プラグを白泡へ放り込み、すぐさまラインテンションを操作して
流れに踊らせる。黒い魚影が勢いよく飛び出してきたのが見えた。
その魚影は流れを追い越すような速度でプラグに追いつき喰らいついた。
ここからは無我夢中だった。
魚との攻防など大層なこともなく容易く寄ってくる小さな魚なのに、
落ち着き冷静さを欠くことなく濡らしたランディングネットにおさまるまで、
僕は興奮の坩堝で記憶が真っ白になってしまった。
水に浸したランディングネットの中の渓流の宝石を眺める。
黒いパーマークが並び、側線の上下に散りばめられた橙色の小さな斑点。
腹部の鮮やかな橙色に息をのみ、胸鰭、腹鰭、尻鰭、そして下葉まで透き通る橙色に染まり、
腹鰭と尻鰭の縁だけは清らかな白色が強く主張しており、
シロヒレタビラを思わす美しさだった。
オショロコマ一族は完全とはいえないが海との交流を断ち、
悠久の昔からこの一帯で繁栄し、
これからも種を永らえるべく子孫を残すのだろう。
撮影を済ませて静寂の流れに姿を見送ると僕はスナップからプラグを外し、
小さなボックスに収めた。
素晴らしい渓相が僕を森の奥へと引き寄せるが、
これ以上釣り上げてなんになろう。
沢山釣らないと満足できないとか、
より大きなオショロコマに出会いたいといった欲望は影を潜めた。
いいところで終わる、足るを知る。
川を下っているとき歩みが止まり凍り付いた。
流れの脇にある一抱えほどの大きさの岩の上に、
直近でヒグマが食べていたであろう大きな魚が放置されていた。
薄い桃色のブナが印象的だが頭部から半分が欠損しており魚種は不明。
鮮度や状況を鑑みるに僕の気配を感じ、慌てて逃げたのだろうか。
強烈な残り香は感じなかったけれどヒグマとの距離は遠くなかったらしい。
入渓時にスマホは圏外だったし、湿原河川のような迷う渓相でもなく
概ちゃんには連絡をしていなかったが、無事に二本足で車まで辿り着けた。
五時に起床して六時過ぎに納竿、濃密な釣行。
吹きすさぶ潮風と潮騒が暴れ、
原始の森から追い出されるようにオショロコマの楽園をあとにした。
2025年01月09日
イトウは心に宿る45
豊かな森の奥から流れ出る澄んだ水にオショロコマ達が泳ぎ、
次に投じたルアーに喰いつくだろうことはわかりきっていた。
特別な技巧を凝らさずとも、これまでやってきたように
水の流れを読んでルアーを投じた。
透き通る水中にプラグが踊ると、
底に潜んでいた黒い影たちが勢いよく飛び出してくる。
水流に押されてターンするラインを追うようにプラグも流れを横切り、
オショロコマであろう黒い影達も追尾してくる。
そして・・・・・・喰わない。
なんだなんだと苦笑いするしかなく、
同様のことが数回繰り返されると苦虫を噛み潰したようになりそうで、
まてまて大自然の中で遊ばせてもらっているのに、
そんな荒んだ気持ちになってはいけないと軽く舌打ちひとつ平静を装う。
ひとつ上のひらきへ移動して、ここでも追尾だけで終わり、
もうひとつ上のひらきでも喰い損ねる光景を目の当たりにすると、
オショロコマのぶんざいで・・・・・・などと乱暴な言葉を口走りそうになる。
初魚が簡単に釣れてしまうのはむしろ不幸なことであり、
最初の一尾に辿り着くには苦労を重ねた方が、
出会えた瞬間により味わい深い思い出となる。
しかしだ、目の前に狙いの魚が複数尾居て、
しかもそれらは喰い気満タンの据え膳状態。
これで釣り上げられないのは釣人の技量の問題ではないかと地団太を踏む。
あまりにもオショロコマ達が小形でプラグに喰いつかない感じに、
プラグのサイズを5ミリ小さなものに交換する。
小型のルアーケースを開け、
お目当てのプラグを摘まみだそうと視線を落とす時も周囲に気を配る。
そんな一瞬の隙にヒグマに間合いを詰められてはならないと警戒を怠らない。
ここは北海道の中でも断然トップのヒグマ生息地帯で、
しかもヒグマのご馳走達がこぞって海から川に集結する季節ときたもんだ。
そんな場所でわざわざ小魚を釣る旅人ひとり。なんて愚かな行為。
そういえばシマフクロウ撮影で出会ったひとりの御仁が
真剣な眼差しでヒグマ対策を皆に教えてくれた。
「決して背を向けて逃げてはならず、
睨みつけたままヒグマが目の前ニメートル接近するまで我慢する。この距離が大事だ。
さらに接近したなら相撲の技である猫騙しを食らわせる。そうすると驚いて逃げるのだ」
というもの。
知り合って間もないご年輩のため、そんなアホなという言葉だけを心で発して笑い、
これはボケのパスを投げたものだと判断できたので続けざまに、
クマのプーさんちゃうねんぞというツッコミが喉元まで上がってきたが、
残りのお二人が神妙な面持ちで頷いていたのを見て、僕は軽く横に仰け反った。
え、本気?笑うとこちゃうの?
これはまるで、
夜のお店で囁かれた女性のリップサービスを本気に受取り、
そのおばはん、もとい女性は既婚者だというのに夜な夜な貢ぎに貢ぎ、
一度だけ接吻をしてもらったことで童帝(わらべのみかど)を強く刺激されたらしく、
有頂天になり、おばはんの愛の住処である住宅ローンの完済まで数年に渡り貢いだ
元釣り仲間の同級生みたいに愚かな、もとい、ピュアなハートだ。
叶わぬ恋のリターンはとりもなおさず火の車だったわけだが、
生きていく上で慧眼を磨かないと地獄を見ることになる典型例。
いやいや当の本人は女性が望むものを献上し、喜ぶ女性を見て自分も嬉しい。
不貞行為なく童帝を喜ばせつつ大金を得るウィンウィン疑似恋愛かあ、
やるじゃないか魔性の女め。
余談さておき、さあ貴方たちは漏らさず何メートルまでヒグマの接近に耐えられるのかしら。
クマと対戦したマサ斎藤じゃないのだから、
突進されたら脊髄反射が如く逃げ出すでしょうよ。
その気にさせては寸止めするオショロコマ達よ、
キスだけでなくそろそろ銜えてください。
次に投じたルアーに喰いつくだろうことはわかりきっていた。
特別な技巧を凝らさずとも、これまでやってきたように
水の流れを読んでルアーを投じた。
透き通る水中にプラグが踊ると、
底に潜んでいた黒い影たちが勢いよく飛び出してくる。
水流に押されてターンするラインを追うようにプラグも流れを横切り、
オショロコマであろう黒い影達も追尾してくる。
そして・・・・・・喰わない。
なんだなんだと苦笑いするしかなく、
同様のことが数回繰り返されると苦虫を噛み潰したようになりそうで、
まてまて大自然の中で遊ばせてもらっているのに、
そんな荒んだ気持ちになってはいけないと軽く舌打ちひとつ平静を装う。
ひとつ上のひらきへ移動して、ここでも追尾だけで終わり、
もうひとつ上のひらきでも喰い損ねる光景を目の当たりにすると、
オショロコマのぶんざいで・・・・・・などと乱暴な言葉を口走りそうになる。
初魚が簡単に釣れてしまうのはむしろ不幸なことであり、
最初の一尾に辿り着くには苦労を重ねた方が、
出会えた瞬間により味わい深い思い出となる。
しかしだ、目の前に狙いの魚が複数尾居て、
しかもそれらは喰い気満タンの据え膳状態。
これで釣り上げられないのは釣人の技量の問題ではないかと地団太を踏む。
あまりにもオショロコマ達が小形でプラグに喰いつかない感じに、
プラグのサイズを5ミリ小さなものに交換する。
小型のルアーケースを開け、
お目当てのプラグを摘まみだそうと視線を落とす時も周囲に気を配る。
そんな一瞬の隙にヒグマに間合いを詰められてはならないと警戒を怠らない。
ここは北海道の中でも断然トップのヒグマ生息地帯で、
しかもヒグマのご馳走達がこぞって海から川に集結する季節ときたもんだ。
そんな場所でわざわざ小魚を釣る旅人ひとり。なんて愚かな行為。
そういえばシマフクロウ撮影で出会ったひとりの御仁が
真剣な眼差しでヒグマ対策を皆に教えてくれた。
「決して背を向けて逃げてはならず、
睨みつけたままヒグマが目の前ニメートル接近するまで我慢する。この距離が大事だ。
さらに接近したなら相撲の技である猫騙しを食らわせる。そうすると驚いて逃げるのだ」
というもの。
知り合って間もないご年輩のため、そんなアホなという言葉だけを心で発して笑い、
これはボケのパスを投げたものだと判断できたので続けざまに、
クマのプーさんちゃうねんぞというツッコミが喉元まで上がってきたが、
残りのお二人が神妙な面持ちで頷いていたのを見て、僕は軽く横に仰け反った。
え、本気?笑うとこちゃうの?
これはまるで、
夜のお店で囁かれた女性のリップサービスを本気に受取り、
そのおばはん、もとい女性は既婚者だというのに夜な夜な貢ぎに貢ぎ、
一度だけ接吻をしてもらったことで童帝(わらべのみかど)を強く刺激されたらしく、
有頂天になり、おばはんの愛の住処である住宅ローンの完済まで数年に渡り貢いだ
元釣り仲間の同級生みたいに愚かな、もとい、ピュアなハートだ。
叶わぬ恋のリターンはとりもなおさず火の車だったわけだが、
生きていく上で慧眼を磨かないと地獄を見ることになる典型例。
いやいや当の本人は女性が望むものを献上し、喜ぶ女性を見て自分も嬉しい。
不貞行為なく童帝を喜ばせつつ大金を得るウィンウィン疑似恋愛かあ、
やるじゃないか魔性の女め。
余談さておき、さあ貴方たちは漏らさず何メートルまでヒグマの接近に耐えられるのかしら。
クマと対戦したマサ斎藤じゃないのだから、
突進されたら脊髄反射が如く逃げ出すでしょうよ。
その気にさせては寸止めするオショロコマ達よ、
キスだけでなくそろそろ銜えてください。
2025年01月07日
イトウは心に宿る44
原生林を駆け下る原始の渓の入口に立ち、奥へと続く景観を眺めた。
大小の岩や石で形成される地形により水は離合集散し、
落差で白泡を生み、淵があって瀬へと続き、また落差へと続く、
のべつまくなしの流れは健全な姿。
なにより水底が丸見えの透明度に息をのんだ。
ここに意中の魚オショロコマが泳ぐ。
オショロコマの最後の聖域と呼ばれるこの地域は、
イワナの生息限界を越えた場所にあり、
それは群雄割拠に競り勝ったオショロコマの楽園。
幼い頃に釣り番組で見た渓流の宝石のようなオショロコマは、
魚類の中でもっとも美しいと断言でき、
いまでもその気持ちは揺るがない。
だが世間的には、さほど大きく育たないためか、
釣人からの支持はないらしく、
オショロコマの釣果自慢を耳にしたことはない。
同じく北海道にしか生息しないイトウだが、
こちらは養殖魚が管理釣場でお目に掛かれるので、
僕にとってはオショロコマの方がよほど魅力的に映る。
養殖や放流もされない人為的とは全く無縁の完全なる天然魚オショロコマ。
今日という日が訪れた。オショロコマの存在を知ってから四十余年、
渓の宝石オショロコマに出会うために遥々ここへやってきた。
明鏡止水で人生初となる一投目をいざ試みる。
小型のシンキング・ミノーをアップクロスで射ち込み、
ボディを連続して翻しながら流れを横切らせると、
数尾の魚影が勢いよくルアーを追尾するのが確認できた。
それらは喰いつくことなくルアーを水から上げ、
これが原始の渓の当り前の姿なんだと僕は少し笑った。
初めてゴギの探釣をしたときも一投目から喰ってきたし、
ヤマトイワナの時も同じ、ニッコウイワナだって釣人が寄り付かない
渓谷であれば一投目で釣れることは珍しくない。
釣人に荒らされていなければ、
そこがイワナの楽園であるならば、
イワナ属は釣ることが決して難しい魚ではない。
入渓しやすい場所であり、渓の入口なのにこの魚影。
本当に釣人から相手にされていない魚らしく、
北の大地にはもっと大きく、引きが強く、食べて美味しい魅力的な魚種達が
あちこちのテーブルで大皿に盛られているので、
オショロコマは釣人の魔の手から逃れているように思え僕は安堵した。
オショロコマ・ゲームとか、オショロコマイングとか、
バカの一つ覚えのようなネーミングの釣りが未来永劫おとずれないことを願い、
次なるキャストをすべくスピニング・リールのベールを起こした。
大小の岩や石で形成される地形により水は離合集散し、
落差で白泡を生み、淵があって瀬へと続き、また落差へと続く、
のべつまくなしの流れは健全な姿。
なにより水底が丸見えの透明度に息をのんだ。
ここに意中の魚オショロコマが泳ぐ。
オショロコマの最後の聖域と呼ばれるこの地域は、
イワナの生息限界を越えた場所にあり、
それは群雄割拠に競り勝ったオショロコマの楽園。
幼い頃に釣り番組で見た渓流の宝石のようなオショロコマは、
魚類の中でもっとも美しいと断言でき、
いまでもその気持ちは揺るがない。
だが世間的には、さほど大きく育たないためか、
釣人からの支持はないらしく、
オショロコマの釣果自慢を耳にしたことはない。
同じく北海道にしか生息しないイトウだが、
こちらは養殖魚が管理釣場でお目に掛かれるので、
僕にとってはオショロコマの方がよほど魅力的に映る。
養殖や放流もされない人為的とは全く無縁の完全なる天然魚オショロコマ。
今日という日が訪れた。オショロコマの存在を知ってから四十余年、
渓の宝石オショロコマに出会うために遥々ここへやってきた。
明鏡止水で人生初となる一投目をいざ試みる。
小型のシンキング・ミノーをアップクロスで射ち込み、
ボディを連続して翻しながら流れを横切らせると、
数尾の魚影が勢いよくルアーを追尾するのが確認できた。
それらは喰いつくことなくルアーを水から上げ、
これが原始の渓の当り前の姿なんだと僕は少し笑った。
初めてゴギの探釣をしたときも一投目から喰ってきたし、
ヤマトイワナの時も同じ、ニッコウイワナだって釣人が寄り付かない
渓谷であれば一投目で釣れることは珍しくない。
釣人に荒らされていなければ、
そこがイワナの楽園であるならば、
イワナ属は釣ることが決して難しい魚ではない。
入渓しやすい場所であり、渓の入口なのにこの魚影。
本当に釣人から相手にされていない魚らしく、
北の大地にはもっと大きく、引きが強く、食べて美味しい魅力的な魚種達が
あちこちのテーブルで大皿に盛られているので、
オショロコマは釣人の魔の手から逃れているように思え僕は安堵した。
オショロコマ・ゲームとか、オショロコマイングとか、
バカの一つ覚えのようなネーミングの釣りが未来永劫おとずれないことを願い、
次なるキャストをすべくスピニング・リールのベールを起こした。
2025年01月06日
イトウは心に宿る43
イトウさておき、意中の魚を求めて車に乗り込む。
実のところその魚は窓から見下ろす小さな流れに泳いでいるのだけど、
ここは神聖なるシマフクロウの縄張りであるため、場を荒らすことは愚の骨頂。
糸を垂らすことを辞退して静かにその場を後にした。
明け方の空は鈍色で、ドライブするには不向きであるが魚釣り日和である。
こういった感覚が異性には理解し難いので、
いまだ愛を求め彷徨う独身釣人なら口に出すのはよした方がいい。
海沿いに車を走らせるものの目的地は決まっておらず、
しかしながらこの一帯全ての河川に生息しているはずなので、
入渓しやすい川を求めて幾つもの橋を越え、
同時に海岸をうろつくヒグマの姿にも気を配る。
北海道に来たならば日本最大の陸生哺乳類にも会いたい。
すぐさま撮影できるよう助手席には超望遠レンズを装着したままのカメラを置いている。
海岸には小さな流れ込みが幾つもあり、
流れ込みの両脇には必ず釣竿を持つ数人の姿があった。
シロザケかカラフトマスの回遊を狙っているように思うが、
釣り雑誌や釣り番組で見たことがある北海道の風物詩に出会えた。
ここでは琵琶湖名物の流れ込みに立ち込むような目を疑う惨劇はなく、
ひと目で釣りの基本と技量が一線を画すのをうかがい知れた。
これだけ海岸に釣人が占拠していればヒグマは現れないのだろうか、
少し残念な気持ちを抱えたまま、
自分の感性が反応を示した川に車を停めた。
この川でも海へ吐出す流れの両脇で釣人達が竿を振っていたが、
当然のことながら皆は沖に向かってルアーを放っている。
そんな釣人達の背後で僕はいまから渓流釣りをするのだけれど、
僕にとってこんな不思議な光景はない。
右岸に立つ僕が例えば、右を向いて竿を振れば海水にルアーが落ち、
左を向いて投げれば渓流にルアーが落ちる。
渓流と海の間には落差があり、
水量もさほど多くないため汽水域と呼べるほど立派なものはなく、
渓流と海が直結している。
右に投げれば海の魚が釣れ、左に投げれば渓流魚。なんだここは。
実のところその魚は窓から見下ろす小さな流れに泳いでいるのだけど、
ここは神聖なるシマフクロウの縄張りであるため、場を荒らすことは愚の骨頂。
糸を垂らすことを辞退して静かにその場を後にした。
明け方の空は鈍色で、ドライブするには不向きであるが魚釣り日和である。
こういった感覚が異性には理解し難いので、
いまだ愛を求め彷徨う独身釣人なら口に出すのはよした方がいい。
海沿いに車を走らせるものの目的地は決まっておらず、
しかしながらこの一帯全ての河川に生息しているはずなので、
入渓しやすい川を求めて幾つもの橋を越え、
同時に海岸をうろつくヒグマの姿にも気を配る。
北海道に来たならば日本最大の陸生哺乳類にも会いたい。
すぐさま撮影できるよう助手席には超望遠レンズを装着したままのカメラを置いている。
海岸には小さな流れ込みが幾つもあり、
流れ込みの両脇には必ず釣竿を持つ数人の姿があった。
シロザケかカラフトマスの回遊を狙っているように思うが、
釣り雑誌や釣り番組で見たことがある北海道の風物詩に出会えた。
ここでは琵琶湖名物の流れ込みに立ち込むような目を疑う惨劇はなく、
ひと目で釣りの基本と技量が一線を画すのをうかがい知れた。
これだけ海岸に釣人が占拠していればヒグマは現れないのだろうか、
少し残念な気持ちを抱えたまま、
自分の感性が反応を示した川に車を停めた。
この川でも海へ吐出す流れの両脇で釣人達が竿を振っていたが、
当然のことながら皆は沖に向かってルアーを放っている。
そんな釣人達の背後で僕はいまから渓流釣りをするのだけれど、
僕にとってこんな不思議な光景はない。
右岸に立つ僕が例えば、右を向いて竿を振れば海水にルアーが落ち、
左を向いて投げれば渓流にルアーが落ちる。
渓流と海の間には落差があり、
水量もさほど多くないため汽水域と呼べるほど立派なものはなく、
渓流と海が直結している。
右に投げれば海の魚が釣れ、左に投げれば渓流魚。なんだここは。
2024年03月19日
イトウは心に宿る42
常連客のひとりが、この地鳴きは
シマフクロウが降りてくる合図だと言った。
その言葉は突如として現実のものとなり、
18:15雌のシマフクロウが目の前に現れた。
初めて見るその姿たるや神々しく、
アイヌ民族からコタン・クルカムイ(部落の神様)
としてあがめられてきた事実にも頷ける。
全長約70cm、翼を広げると約180cmにもなる国内最大のフクロウで、
鋭い眼光、強暴なるカギ爪、恐れを知らない佇まい、
それでいて美しい模様の羽を全身に纏い、
北海道水系の頂点に君臨する者である威厳に満ち溢れている。
シマフクロウの一挙一動をレンズ越しに追い、
黙秘権を行使したように口をつぐみ、
ミラーレス一眼の控えめな電子シャッター音が鳴り続ける。
泳ぐヤマメを捕まえ丸呑みし、
19:55遡上するサクラマスの腹に鋭い爪を食い込ませて捕らえ、
一同を驚かせた。
想像を遥かに超えた野生の営みを間近に観察でき、
高い入場料は保証のない博打だと思っていたのに、
料金の頭に1を足しても納得いく価格だ。
常連方いわく、僕達四人が並ぶ撮影位置は本当に好場所らしく、
他の場所は死角が大きくシマフクロウを追い切れないそうだ。
案内してくれたGGもとい男性スタッフが言った
「本当はここが一番いい」は本当だった。
後日談だが、この場所とスタッフがテレビ番組で紹介されているのを観て、
お変わりない姿が嬉しかった。
これだけで来た甲斐があったと喜んでいたのに、
21:14なんと母鳥の姿に安心したのか、
幼鳥(アオバズク大)二羽もやってきた。
これには常連様も声を出して驚き、
右隣りの方が
「奇跡だ。十数年撮影してきて三羽が揃うのを見たのは初めてだ」と言う。
今度は僕の方を見て
「初めて来たのに・・・・・・とてつもない強運の持ち主だよ」
と半ば呆れるように言い
「二度とないかも知れないからとにかく撮りまくろう」と急かした。
これも僕を喜ばせるリップサービスでしょと疑いそうになったが、
この方はさきほどまで、ほとんどシャッターを押していなかったのに、
今はファインダーを覗き込んだまま無言で連写しているので、
どうやら本当のことらしかった。
そもそもシマフクロウの雛は一羽しか育たないらしく、
今年は二羽とも育っていることが話題になっていたそうだ。
母親が子供達に給餌する姿が微笑ましく、
ひとしきりシャッターを押したあとは動画撮影に切り替えた。
息を止めてシャッターを押していた時と違い、
体の力を抜いて普段お目に掛かれない光景を客観的に眺めた。
シマフクロウを一目見られたら好運と思っていたのが、
ヤマメを捕獲して食べる姿や、飛翔、枝止まり、
さらには雛まで出現して給餌まで。
北海道水系の食物連鎖の頂点に君臨する天然記念物シマフクロウを
とことん堪能して感慨無量。
奇跡の時間は続くが似たようなシーンが繰り返されるので、
ちょいとコーヒー・ブレイク宣言。
コーヒーを飲みに行く際は一旦屋外に出るのだが、
左隣の方が一緒について行くと言った。
な、なぜに・・・・・・野郎と歩く趣味はないと一瞬戸惑ったが、
ついて来る理由はヒグマの存在だった。
右隣りの方が笑いながら「ヒグマがいるよ」と。
今いる場所から撮影したヒグマ画像を見せられたら、
後退りして返す言葉が見つからなかった。
やっぱりこの地は別格で、危険の境界線の上で生活をしている。
命がけで飲んだホットコーヒーは美味しさに輪をかけた。
時間に制約のない永遠の夏休みを満喫中の
常連御三方は撤退することになり、
またどこかで会う約束をし、
あとは僕が好場所を独り占めすることになった。
暖房の温風が体をほぐし、穏やかに微睡む。
たまに薄目で窓の外を確認してまた微睡む。
好きなことを好きなだけ心行くまで楽しむ贅沢。
2:11夢か幻か、雌より小振りで雛より大きい
シマフクロウが飛来した。
どうも思考回路が鈍くなっているらしく、
その正体にしばらく気づかなかったが、
ぼんやり眺めて気がづいた。シマフクロウの雄親だ。
親子四羽が揃っていることに驚き、ようやく目が覚めた。
三羽でも奇跡だと言われたのに、これはどう例えよう。
もはやこの瞬間を撮影できる者は僕唯一人。
雌親が雛に給餌していたように、
雄親もヤマメを捕まえて雛に与えようとするのだが、
雛達はそれを拒んで飛んで行き、
銜えたままのヤマメをどうしようか戸惑う雄親を見て
僕はずっこける。
そんなことを二回繰り返し、
野鳥の世界にもある親の心子知らずの言葉が浮かんできた。
天然記念物シマフクロウ親子の貴重な記録を残すこができ、
一生の思い出を作ることができた。
辺りが白み始める頃にはシマフクロウ一家は森に帰り、
一日の終わりを告げる朝陽が昇ろうとしていた。
ひと眠りする前に、
白光錦川から遠くない川で朝まずめの魚釣りをしたくなり、
あの魚種を狙うことにした。
僕の中でイトウが陽ならその魚は陰。
エゾイワナ(アメマス)のように北海道水系のみに生息する、
これまで表に出すことがなく心に秘めていた意中の魚。
イトウさておき、北海道に来たならこの魚は絶対に釣る。
シマフクロウが降りてくる合図だと言った。
その言葉は突如として現実のものとなり、
18:15雌のシマフクロウが目の前に現れた。
初めて見るその姿たるや神々しく、
アイヌ民族からコタン・クルカムイ(部落の神様)
としてあがめられてきた事実にも頷ける。
全長約70cm、翼を広げると約180cmにもなる国内最大のフクロウで、
鋭い眼光、強暴なるカギ爪、恐れを知らない佇まい、
それでいて美しい模様の羽を全身に纏い、
北海道水系の頂点に君臨する者である威厳に満ち溢れている。
シマフクロウの一挙一動をレンズ越しに追い、
黙秘権を行使したように口をつぐみ、
ミラーレス一眼の控えめな電子シャッター音が鳴り続ける。
泳ぐヤマメを捕まえ丸呑みし、
19:55遡上するサクラマスの腹に鋭い爪を食い込ませて捕らえ、
一同を驚かせた。
想像を遥かに超えた野生の営みを間近に観察でき、
高い入場料は保証のない博打だと思っていたのに、
料金の頭に1を足しても納得いく価格だ。
常連方いわく、僕達四人が並ぶ撮影位置は本当に好場所らしく、
他の場所は死角が大きくシマフクロウを追い切れないそうだ。
案内してくれたGGもとい男性スタッフが言った
「本当はここが一番いい」は本当だった。
後日談だが、この場所とスタッフがテレビ番組で紹介されているのを観て、
お変わりない姿が嬉しかった。
これだけで来た甲斐があったと喜んでいたのに、
21:14なんと母鳥の姿に安心したのか、
幼鳥(アオバズク大)二羽もやってきた。
これには常連様も声を出して驚き、
右隣りの方が
「奇跡だ。十数年撮影してきて三羽が揃うのを見たのは初めてだ」と言う。
今度は僕の方を見て
「初めて来たのに・・・・・・とてつもない強運の持ち主だよ」
と半ば呆れるように言い
「二度とないかも知れないからとにかく撮りまくろう」と急かした。
これも僕を喜ばせるリップサービスでしょと疑いそうになったが、
この方はさきほどまで、ほとんどシャッターを押していなかったのに、
今はファインダーを覗き込んだまま無言で連写しているので、
どうやら本当のことらしかった。
そもそもシマフクロウの雛は一羽しか育たないらしく、
今年は二羽とも育っていることが話題になっていたそうだ。
母親が子供達に給餌する姿が微笑ましく、
ひとしきりシャッターを押したあとは動画撮影に切り替えた。
息を止めてシャッターを押していた時と違い、
体の力を抜いて普段お目に掛かれない光景を客観的に眺めた。
シマフクロウを一目見られたら好運と思っていたのが、
ヤマメを捕獲して食べる姿や、飛翔、枝止まり、
さらには雛まで出現して給餌まで。
北海道水系の食物連鎖の頂点に君臨する天然記念物シマフクロウを
とことん堪能して感慨無量。
奇跡の時間は続くが似たようなシーンが繰り返されるので、
ちょいとコーヒー・ブレイク宣言。
コーヒーを飲みに行く際は一旦屋外に出るのだが、
左隣の方が一緒について行くと言った。
な、なぜに・・・・・・野郎と歩く趣味はないと一瞬戸惑ったが、
ついて来る理由はヒグマの存在だった。
右隣りの方が笑いながら「ヒグマがいるよ」と。
今いる場所から撮影したヒグマ画像を見せられたら、
後退りして返す言葉が見つからなかった。
やっぱりこの地は別格で、危険の境界線の上で生活をしている。
命がけで飲んだホットコーヒーは美味しさに輪をかけた。
時間に制約のない永遠の夏休みを満喫中の
常連御三方は撤退することになり、
またどこかで会う約束をし、
あとは僕が好場所を独り占めすることになった。
暖房の温風が体をほぐし、穏やかに微睡む。
たまに薄目で窓の外を確認してまた微睡む。
好きなことを好きなだけ心行くまで楽しむ贅沢。
2:11夢か幻か、雌より小振りで雛より大きい
シマフクロウが飛来した。
どうも思考回路が鈍くなっているらしく、
その正体にしばらく気づかなかったが、
ぼんやり眺めて気がづいた。シマフクロウの雄親だ。
親子四羽が揃っていることに驚き、ようやく目が覚めた。
三羽でも奇跡だと言われたのに、これはどう例えよう。
もはやこの瞬間を撮影できる者は僕唯一人。
雌親が雛に給餌していたように、
雄親もヤマメを捕まえて雛に与えようとするのだが、
雛達はそれを拒んで飛んで行き、
銜えたままのヤマメをどうしようか戸惑う雄親を見て
僕はずっこける。
そんなことを二回繰り返し、
野鳥の世界にもある親の心子知らずの言葉が浮かんできた。
天然記念物シマフクロウ親子の貴重な記録を残すこができ、
一生の思い出を作ることができた。
辺りが白み始める頃にはシマフクロウ一家は森に帰り、
一日の終わりを告げる朝陽が昇ろうとしていた。
ひと眠りする前に、
白光錦川から遠くない川で朝まずめの魚釣りをしたくなり、
あの魚種を狙うことにした。
僕の中でイトウが陽ならその魚は陰。
エゾイワナ(アメマス)のように北海道水系のみに生息する、
これまで表に出すことがなく心に秘めていた意中の魚。
イトウさておき、北海道に来たならこの魚は絶対に釣る。
2024年03月18日
イトウは心に宿る41
またしても変化に乏しい道のりを延々と進む。
前方にも後方にも走行車はなく、
対向車すらすれ違うことが稀であり、
次第にハイウェイ・ヒプノーシスが歩み寄る地獄道。
今後、北海道ツーリングやドライブは一生ないと確信。
暇潰しもとい、概ちゃんの声を聞きたく通話を試みるも
電波がない。見えない塀に覆われた広大な牢獄。
あるとき五頭のエゾシカ♀が対向車線を
全力で逆走するのを見て、
さらに二十五分後に牧草地で
タンチョウ雌雄が寄りそう姿を見ることができた。
この二つだけが大きな変化だった。
当初はマップが案内する目的地までの残り時間と距離に
目眩がしそうだったが、
白光錦川の手前にあるセイコーマートの存在が鼓舞となる。
もはやゴール地点に等しい存在のセコマに到着するも、
タイミングが悪かったのかホットシェフがなく、
それは一目でわかったのに、
わざわざ妙齢の女性に声を掛けて久しぶりに人間の声を堪能。
幸いなことに次のセコマが数分先にもあったので、
店内に入るとまたもやキンッキンに染めた
金髪日本人女性スタッフに出会った。
その日の夜は別の店舗でも髪の根元は黒いが
キンッキンに染めた女性スタッフがおられたので、
どうやらこちらでは金髪ブームが来ていることを確信。
目的地に到着したのは夕暮れ間近で、
そこは想像を越えた僻地だった。
白光錦川の畔に車を駐車すると、いきなりカワガラスがお出迎え。
ちょいとこれから行う撮影の肩慣らしにさせてもらった。
ここに来たのは北海道旅行五大目的のひとつ
天然記念物シマフクロウに会うためだ。
北海道といえばイトウさておきシマフクロウで、
シマフクロウに会わずしてなにが北海道旅行だ。
イトウは単独で探釣するが、
旅行中にシマフクロウを探鳥して撮影するのは極めて不可能に近く、
夜間のシマフクロウを撮影できる施設に遥々やってきた。
受付けを澄ませると、ご高齢男性スタッフに
撮影場所を案内してもらうのだが、
僕と同じタイミングで来た予約客を先に案内し、
その客に「ここが一番いいから」と声を掛けた。
その次に、飛び込み客の僕をその先にある撮影場所まで
案内してくれたのだが、「本当はここが一番いいから」と言った。
みんなにそう言って安心させる魔法の言葉らしい。
ご高齢男性スタッフはぶっきらぼうな言い方なのに
なんだかんだと世話焼きで、また受付の場所まで戻らされ、
無料コーヒーメーカーの使い方や、
本当にシマフクロウが見られるのか訝しむ僕に、
出現時間や場所を丁寧に説明してくれた。
それらが終ると撮影場所に戻って石油ファンヒーターの使い方を
指南しようとするので、ボタンを押すだけでしょうと
丁重にお断りしたが、
しばらくして灯油缶を持って現れ、満タンにしてくださった。
日中は半袖なのに夜間は暖房が必須で、
陽が西に沈むとあっという間に冷蔵庫の中。
僻地は命に関わる危険の境界線で生きていることを実感する。
三脚をセットしていると、三人の客が順番に入ってきた。
照明は厳禁なので顔は確認できないものの、
期待する妙齢女性でないのは間違いなかった。
一見客は僕だけで皆様は常連らしい。
シマフクロウ出現時間は直近のデータから推測するに
しばらく待機時間になるらしく、しばし談笑。
みなさま定年を過ぎたリタイア組らしく、永遠の夏休み真っ盛り。
右隣りの方は地元のシマフクロウ愛好家で、
左隣に座る方は奥さんを置いてけぼりにして北海道に半移住している方、
もうひとつ向こうに座る方は、なんと九州から定期的に
シマフクロウ撮影に通う変態カメラマン。
とはいえ飛行機だと日本のどこから来ても似たようなものか。
そして左隣の北海道に半移住している方との出会いは奇跡だった。
ハイシーズンだけ北海道に住んでいるらしく、
本当の家はなななんとご近所さん。本当に!?とお互い絶句。
こんな僻地まで来てマイノリティな趣味を持つご近所さんに会うなんて。
いや、それにしても調子を合わせて言っているんじゃないの~と訝しむも、
その方が「六麓荘町にあるスーパー玉出はよく行きますよ」と言うので、
僕ももやしの一円セールの時は必ず行きますと答え、
「ということは六麓荘町のダイソーにも?」と言うので、
もちろんダイソーは生命線ですからと答えた。
「もしかしてヴェイロンが停まっているプール付きのお屋敷でしょうか」
と言われると全力で否定し、プールは維持費が大変なので、
庭には猫の額ほどのテニスコートが二面しかございませんことよと答えた。
闇のカーテンがうっそうと垂れこめる中、
山間に一発のシマフクロウの重厚感ある鳴き声が響くと緊張が走った。
前方にも後方にも走行車はなく、
対向車すらすれ違うことが稀であり、
次第にハイウェイ・ヒプノーシスが歩み寄る地獄道。
今後、北海道ツーリングやドライブは一生ないと確信。
暇潰しもとい、概ちゃんの声を聞きたく通話を試みるも
電波がない。見えない塀に覆われた広大な牢獄。
あるとき五頭のエゾシカ♀が対向車線を
全力で逆走するのを見て、
さらに二十五分後に牧草地で
タンチョウ雌雄が寄りそう姿を見ることができた。
この二つだけが大きな変化だった。
当初はマップが案内する目的地までの残り時間と距離に
目眩がしそうだったが、
白光錦川の手前にあるセイコーマートの存在が鼓舞となる。
もはやゴール地点に等しい存在のセコマに到着するも、
タイミングが悪かったのかホットシェフがなく、
それは一目でわかったのに、
わざわざ妙齢の女性に声を掛けて久しぶりに人間の声を堪能。
幸いなことに次のセコマが数分先にもあったので、
店内に入るとまたもやキンッキンに染めた
金髪日本人女性スタッフに出会った。
その日の夜は別の店舗でも髪の根元は黒いが
キンッキンに染めた女性スタッフがおられたので、
どうやらこちらでは金髪ブームが来ていることを確信。
目的地に到着したのは夕暮れ間近で、
そこは想像を越えた僻地だった。
白光錦川の畔に車を駐車すると、いきなりカワガラスがお出迎え。
ちょいとこれから行う撮影の肩慣らしにさせてもらった。
ここに来たのは北海道旅行五大目的のひとつ
天然記念物シマフクロウに会うためだ。
北海道といえばイトウさておきシマフクロウで、
シマフクロウに会わずしてなにが北海道旅行だ。
イトウは単独で探釣するが、
旅行中にシマフクロウを探鳥して撮影するのは極めて不可能に近く、
夜間のシマフクロウを撮影できる施設に遥々やってきた。
受付けを澄ませると、ご高齢男性スタッフに
撮影場所を案内してもらうのだが、
僕と同じタイミングで来た予約客を先に案内し、
その客に「ここが一番いいから」と声を掛けた。
その次に、飛び込み客の僕をその先にある撮影場所まで
案内してくれたのだが、「本当はここが一番いいから」と言った。
みんなにそう言って安心させる魔法の言葉らしい。
ご高齢男性スタッフはぶっきらぼうな言い方なのに
なんだかんだと世話焼きで、また受付の場所まで戻らされ、
無料コーヒーメーカーの使い方や、
本当にシマフクロウが見られるのか訝しむ僕に、
出現時間や場所を丁寧に説明してくれた。
それらが終ると撮影場所に戻って石油ファンヒーターの使い方を
指南しようとするので、ボタンを押すだけでしょうと
丁重にお断りしたが、
しばらくして灯油缶を持って現れ、満タンにしてくださった。
日中は半袖なのに夜間は暖房が必須で、
陽が西に沈むとあっという間に冷蔵庫の中。
僻地は命に関わる危険の境界線で生きていることを実感する。
三脚をセットしていると、三人の客が順番に入ってきた。
照明は厳禁なので顔は確認できないものの、
期待する妙齢女性でないのは間違いなかった。
一見客は僕だけで皆様は常連らしい。
シマフクロウ出現時間は直近のデータから推測するに
しばらく待機時間になるらしく、しばし談笑。
みなさま定年を過ぎたリタイア組らしく、永遠の夏休み真っ盛り。
右隣りの方は地元のシマフクロウ愛好家で、
左隣に座る方は奥さんを置いてけぼりにして北海道に半移住している方、
もうひとつ向こうに座る方は、なんと九州から定期的に
シマフクロウ撮影に通う変態カメラマン。
とはいえ飛行機だと日本のどこから来ても似たようなものか。
そして左隣の北海道に半移住している方との出会いは奇跡だった。
ハイシーズンだけ北海道に住んでいるらしく、
本当の家はなななんとご近所さん。本当に!?とお互い絶句。
こんな僻地まで来てマイノリティな趣味を持つご近所さんに会うなんて。
いや、それにしても調子を合わせて言っているんじゃないの~と訝しむも、
その方が「六麓荘町にあるスーパー玉出はよく行きますよ」と言うので、
僕ももやしの一円セールの時は必ず行きますと答え、
「ということは六麓荘町のダイソーにも?」と言うので、
もちろんダイソーは生命線ですからと答えた。
「もしかしてヴェイロンが停まっているプール付きのお屋敷でしょうか」
と言われると全力で否定し、プールは維持費が大変なので、
庭には猫の額ほどのテニスコートが二面しかございませんことよと答えた。
闇のカーテンがうっそうと垂れこめる中、
山間に一発のシマフクロウの重厚感ある鳴き声が響くと緊張が走った。
2024年03月14日
イトウは心に宿る40
なんだったらイト・ウは年間で少しの間しか狙わないらしく、
もっともその一番美味しい釣期は地元釣人の特権であり、
湿原の川は雪と氷の要塞に鎖されるため、
余所者が挑戦を試みたならば命を落とすことだろう。
さすが北の魚、水温に反比例して高活性なのか。
そんな北の釣人達が夢中になる魚は外来魚。
それは2項で述べた、ブレットンを喰ってくれた魚種で、
このチチハズミ川をはじめ色々な川で野生化および繁殖しており、
しかも俄かに信じられないサイズが泳ぐという。
降海型ならまだしも、そんな大形がいる雰囲気はなかったことを伝えると、
僕が見た場所はほんの一部であり、
まだ水嵩が高いので潜む場所も不明瞭らしく、
水が落ち着けば樹木に隠れて息を潜めて待っていると、
ある場所でヤツが浮いてくるそうだ。
そいつは非常に警戒心が強くルアーは喰わないので、
羽化して流下する水生昆虫に合わせたマッチ・ザ・ハッチで狙い、
ただし、倒木や流木などが複雑に絡むややこしい場所なので、
フライタックルでまともにファイトできようはずもなく、
魚が走れば自分は泳いで魚を追いかけるスパルタン・スタイル。
なのでイト・ウの引きは目じゃないと笑った。
ちなみにその信じられないサイズをまだ釣り上げられないらしく、
そりゃ夢中になるわと僕も笑った。
魚釣りは釣れても行きたくなり、釣れないとさらに燃える。
なぜ釣れない、次の一手をどうするか、そうこうしているうちに、
うっかり四十余年も魚釣りに染まったままだ。
そんな釣れない巨大魚のジグソーバズル80x70sizeを
部屋の壁に飾ってある。Randy McgovernのSwim Meet 、
記憶が正しければ1996年頃に作ったはずだ。
最後に釣人は、僕が旅の間に訪れる湿原河川について、
それらはヒグマの巣窟であり、足跡をいくらでも見るそうで、
僕のヒグマ対策は万全か不安な表情で覗きこみ、
本当に危ないからなと厳しい口調で言った。
ここまで言われると僕は急に不安になった。
すると思い立ったように釣人は後ろに停めてある
黒い四輪駆動車に戻り、
あったあったなんて言いながら熊除けの御利益がある
高額な壺を手に、
「今なら特別に金利・手数料は当者負担の50%オフにさせていただき、
そしてなんと!秋の下取り祭り開催中なので、
いいですか!?お手持ちの壺を三万円で下取りします!
この機会をお見逃しなく!で、いま現金はお持ちでしょうか?」
なんてことを言い出すのではないかと身構えた。
だがよくよく聞いてみると今だけのお買い得ならと
即決してしまいそうだ。
ただ残念なことに自慢の愛壺は家に置いてきたので
下取りしてもらえない。
実のところ批判を恐れず言うならば僕はヒグマと遭遇したい。
襲われたくないけれど撮影はしたいのだ。
よって僕は地元釣人のヒグマ対策より、
遭遇率や出没ポイントや過去の経験談を聞きたかったので、
これ幸いとばかりに、
四十余年も水辺に立ってヒグマに遭遇したことは?
「ない」
ないんかーい。
でもあれでしょ、
数秒後に襲われるかもしれないってことやね?
釣人は「そうだ」と神妙な面持ちで頷いた。
釣人はおもむろにタバコに火を付けた。
これは残念、喫煙の許可を求めて欲しかった。
ご遠慮願いますと言ったのに。
吸っていいですかと聞かれたら誰しもどうぞと言いがちだが、
嫌に決まっている。心の中でお気の毒と蔑んでいる。
これまで会話をしている間は感染予防で距離を空けていたが、
健康を害する臭い煙が髪や服に付着しないよう風上に回った。
その後、当然のように吸殻を草むらに放り投げた。
さすが安定の喫煙者クオリティ、期待を裏切らないクズ行動。
箱に書かれている文章が理解できないのも頷け、
人前でこれなのだから普段から無神経なことをしているに違いなく、
大損していることにも気付かない。そして誰も教えてくれない。
北の大地の釣人との交流時間が興ざめに終わった。
チチハズミ川のエゾイワナとの出会いに感謝し、
河川の増水や次なる目的を鑑みて計画を頭の中に巡らせる。
やっぱりイトウは最後でいいにして、
次なる目的はヤツだ、イトウさておきヤツにする。
日本の固有種で北海道の川だけに生息し、
生息数はイトウより遥かに少ない希少種だ。
ヤマメやアメマスを丸呑みしサクラマスをも襲う、
サディスティックな部分に惹かれる。
時計を確認すると時刻は正午、
いま出発すれば夕方までに現地へ到着できるはず。
お留守番中の概ちゃんに、
断腸の思いで今夜は帰らないと連絡を入れ、
白光錦川へ向かった。
すぐに返信があり、行間から喜びが滲み出ていると書かれていた。
もっともその一番美味しい釣期は地元釣人の特権であり、
湿原の川は雪と氷の要塞に鎖されるため、
余所者が挑戦を試みたならば命を落とすことだろう。
さすが北の魚、水温に反比例して高活性なのか。
そんな北の釣人達が夢中になる魚は外来魚。
それは2項で述べた、ブレットンを喰ってくれた魚種で、
このチチハズミ川をはじめ色々な川で野生化および繁殖しており、
しかも俄かに信じられないサイズが泳ぐという。
降海型ならまだしも、そんな大形がいる雰囲気はなかったことを伝えると、
僕が見た場所はほんの一部であり、
まだ水嵩が高いので潜む場所も不明瞭らしく、
水が落ち着けば樹木に隠れて息を潜めて待っていると、
ある場所でヤツが浮いてくるそうだ。
そいつは非常に警戒心が強くルアーは喰わないので、
羽化して流下する水生昆虫に合わせたマッチ・ザ・ハッチで狙い、
ただし、倒木や流木などが複雑に絡むややこしい場所なので、
フライタックルでまともにファイトできようはずもなく、
魚が走れば自分は泳いで魚を追いかけるスパルタン・スタイル。
なのでイト・ウの引きは目じゃないと笑った。
ちなみにその信じられないサイズをまだ釣り上げられないらしく、
そりゃ夢中になるわと僕も笑った。
魚釣りは釣れても行きたくなり、釣れないとさらに燃える。
なぜ釣れない、次の一手をどうするか、そうこうしているうちに、
うっかり四十余年も魚釣りに染まったままだ。
そんな釣れない巨大魚のジグソーバズル80x70sizeを
部屋の壁に飾ってある。Randy McgovernのSwim Meet 、
記憶が正しければ1996年頃に作ったはずだ。
最後に釣人は、僕が旅の間に訪れる湿原河川について、
それらはヒグマの巣窟であり、足跡をいくらでも見るそうで、
僕のヒグマ対策は万全か不安な表情で覗きこみ、
本当に危ないからなと厳しい口調で言った。
ここまで言われると僕は急に不安になった。
すると思い立ったように釣人は後ろに停めてある
黒い四輪駆動車に戻り、
あったあったなんて言いながら熊除けの御利益がある
高額な壺を手に、
「今なら特別に金利・手数料は当者負担の50%オフにさせていただき、
そしてなんと!秋の下取り祭り開催中なので、
いいですか!?お手持ちの壺を三万円で下取りします!
この機会をお見逃しなく!で、いま現金はお持ちでしょうか?」
なんてことを言い出すのではないかと身構えた。
だがよくよく聞いてみると今だけのお買い得ならと
即決してしまいそうだ。
ただ残念なことに自慢の愛壺は家に置いてきたので
下取りしてもらえない。
実のところ批判を恐れず言うならば僕はヒグマと遭遇したい。
襲われたくないけれど撮影はしたいのだ。
よって僕は地元釣人のヒグマ対策より、
遭遇率や出没ポイントや過去の経験談を聞きたかったので、
これ幸いとばかりに、
四十余年も水辺に立ってヒグマに遭遇したことは?
「ない」
ないんかーい。
でもあれでしょ、
数秒後に襲われるかもしれないってことやね?
釣人は「そうだ」と神妙な面持ちで頷いた。
釣人はおもむろにタバコに火を付けた。
これは残念、喫煙の許可を求めて欲しかった。
ご遠慮願いますと言ったのに。
吸っていいですかと聞かれたら誰しもどうぞと言いがちだが、
嫌に決まっている。心の中でお気の毒と蔑んでいる。
これまで会話をしている間は感染予防で距離を空けていたが、
健康を害する臭い煙が髪や服に付着しないよう風上に回った。
その後、当然のように吸殻を草むらに放り投げた。
さすが安定の喫煙者クオリティ、期待を裏切らないクズ行動。
箱に書かれている文章が理解できないのも頷け、
人前でこれなのだから普段から無神経なことをしているに違いなく、
大損していることにも気付かない。そして誰も教えてくれない。
北の大地の釣人との交流時間が興ざめに終わった。
チチハズミ川のエゾイワナとの出会いに感謝し、
河川の増水や次なる目的を鑑みて計画を頭の中に巡らせる。
やっぱりイトウは最後でいいにして、
次なる目的はヤツだ、イトウさておきヤツにする。
日本の固有種で北海道の川だけに生息し、
生息数はイトウより遥かに少ない希少種だ。
ヤマメやアメマスを丸呑みしサクラマスをも襲う、
サディスティックな部分に惹かれる。
時計を確認すると時刻は正午、
いま出発すれば夕方までに現地へ到着できるはず。
お留守番中の概ちゃんに、
断腸の思いで今夜は帰らないと連絡を入れ、
白光錦川へ向かった。
すぐに返信があり、行間から喜びが滲み出ていると書かれていた。
2024年03月12日
イトウは心に宿る39
僕を試しているらしいが、
自信を持って別女穴川だと答えた。
マーキングを施したマップを見せると、
感心したようにこれはいい所を押さえていると唸り、
何もアドバイスせずともあんたなら釣るだろうなと言った。
でもちょっと言わせて欲しいことがあるらしく、
どうぞと笑顔で答えた。
この支流にイト・ウはいないぞと言ったのがひとつ、
もうひとつはマーキングしていない場所を指し、
この辺りが抜けていると言うので、
イトウの習性からして、この季節の水温だとこの辺りにはいないと
判断したと回答すると、学術的には間違いないが、
実際はこの辺りに年中留まっていると教えてくれた。
そもそも一本の川だけでも膨大な流量があり、
そのほとんどが人間の侵入を阻む自然の要塞で、
イトウの生息数の確認は困難なのではないかと思わされる。
ただし学者は現地調査したデータを基に絶滅の危機に瀕していると
発表しているのであり、
釣人がイトウの個体数は多いと声を上げたところで、
説得力のあるデータを示せなければ証明は難しいかもしれない。
釣人が指摘したその辺りとやらは、
車が近づけないどころか歩いて川に出られる場所ではなかった。
すると不敵な笑みを浮かべた釣人が話をすり替え、
次の質問をしてきた。
「イト・ウはどこに潜んでいると思う?」と。
これは簡単だ。
こういう場所のここに潜んでいると回答したなら
「だろ?」間、髪入れずそうくると思ったと言い、、
「みんなそう言うんだ」と、またもや不敵な笑みを浮かべた。
確かに僕の推測は間違いではないが、
実はイト・ウはこういう所にも潜んでいるのだと。
なるほど、僕も負けてはおれず即座に、
ということはその場所ならここに定位するだろうと
ピンポイントを指摘すれば「そういうことだ」と釣人は微笑んだ。
そのイト・ウを狙う際のルアーの動きが大切でなと言い、
意固地な僕が知りたくなさそうな話だが、参考までにお願いした。
「このルアーのこの動き・・・・・・絶対だから」
この動きがイト・ウに効果的だと知ってからは、
まったく釣果が違ってきたらしく、
釣れなかったのに、このルアーでこの動きをしたら
食ってきたことで、魚は居たんだと気づいたと。
その後は、この動きを試して釣れなかったらポイントを見切るとのこと。
なるほど、この動きはルアーは違えど、
あの釣りで絶対的な動きであり僕の大好きな釣り方だ。
ということは、こうしてこうした時にドン!でしょ?
「わかってるね~」と釣人は笑い、
この動きは絶対だからと念を押された。
じゃあもうひとつお節介させてくれと釣人は言い、
釣る釣らないは僕の勝手でいいが、
本場のイトウが生息する場所を一目見て行けと。
この申し出を無下にするのは失礼にあたると思い、是非とお願いした。
先ほどマップで示していなかったイトウが潜むポイントに話は戻り、
そこは釣人のプライベート・ポイントだと言った。
というのもそこは親類宅の土地であり、
家の前を通ってその先にある門の鍵が必要なため、
当然許可が必要となる。
なんだかロールプレイングゲームになってきたぞ。
実はSNSにアップしたところで誰も入れないどころか、
場所の特定すら不可能な地帯。
そこへは上流からも下流からも岸伝いの移動が不可能だし、
カヌーですら倒木等々で辿り着くのは困難なのだとか。
もちろんヒグマ出没地帯。
ただし今は増水で釣りはおろか、浸水林となり近寄ることができず、
落ち着くまで三日はかかるとのこと。
親類宅へのご挨拶時の合言葉を決め、
ありがたく訪問させて頂くことにした。
確認していないが釣人は年齢も同じくらいで、
お互いうっかり四十余年も魚釣りを嗜んできたので、
釣り談義が弾みまくる。
ここまでイト・ウの魅力を語ってくれたのに、
彼らの間ではもっと狡猾で強烈な魚種が人気なのだという。
自信を持って別女穴川だと答えた。
マーキングを施したマップを見せると、
感心したようにこれはいい所を押さえていると唸り、
何もアドバイスせずともあんたなら釣るだろうなと言った。
でもちょっと言わせて欲しいことがあるらしく、
どうぞと笑顔で答えた。
この支流にイト・ウはいないぞと言ったのがひとつ、
もうひとつはマーキングしていない場所を指し、
この辺りが抜けていると言うので、
イトウの習性からして、この季節の水温だとこの辺りにはいないと
判断したと回答すると、学術的には間違いないが、
実際はこの辺りに年中留まっていると教えてくれた。
そもそも一本の川だけでも膨大な流量があり、
そのほとんどが人間の侵入を阻む自然の要塞で、
イトウの生息数の確認は困難なのではないかと思わされる。
ただし学者は現地調査したデータを基に絶滅の危機に瀕していると
発表しているのであり、
釣人がイトウの個体数は多いと声を上げたところで、
説得力のあるデータを示せなければ証明は難しいかもしれない。
釣人が指摘したその辺りとやらは、
車が近づけないどころか歩いて川に出られる場所ではなかった。
すると不敵な笑みを浮かべた釣人が話をすり替え、
次の質問をしてきた。
「イト・ウはどこに潜んでいると思う?」と。
これは簡単だ。
こういう場所のここに潜んでいると回答したなら
「だろ?」間、髪入れずそうくると思ったと言い、、
「みんなそう言うんだ」と、またもや不敵な笑みを浮かべた。
確かに僕の推測は間違いではないが、
実はイト・ウはこういう所にも潜んでいるのだと。
なるほど、僕も負けてはおれず即座に、
ということはその場所ならここに定位するだろうと
ピンポイントを指摘すれば「そういうことだ」と釣人は微笑んだ。
そのイト・ウを狙う際のルアーの動きが大切でなと言い、
意固地な僕が知りたくなさそうな話だが、参考までにお願いした。
「このルアーのこの動き・・・・・・絶対だから」
この動きがイト・ウに効果的だと知ってからは、
まったく釣果が違ってきたらしく、
釣れなかったのに、このルアーでこの動きをしたら
食ってきたことで、魚は居たんだと気づいたと。
その後は、この動きを試して釣れなかったらポイントを見切るとのこと。
なるほど、この動きはルアーは違えど、
あの釣りで絶対的な動きであり僕の大好きな釣り方だ。
ということは、こうしてこうした時にドン!でしょ?
「わかってるね~」と釣人は笑い、
この動きは絶対だからと念を押された。
じゃあもうひとつお節介させてくれと釣人は言い、
釣る釣らないは僕の勝手でいいが、
本場のイトウが生息する場所を一目見て行けと。
この申し出を無下にするのは失礼にあたると思い、是非とお願いした。
先ほどマップで示していなかったイトウが潜むポイントに話は戻り、
そこは釣人のプライベート・ポイントだと言った。
というのもそこは親類宅の土地であり、
家の前を通ってその先にある門の鍵が必要なため、
当然許可が必要となる。
なんだかロールプレイングゲームになってきたぞ。
実はSNSにアップしたところで誰も入れないどころか、
場所の特定すら不可能な地帯。
そこへは上流からも下流からも岸伝いの移動が不可能だし、
カヌーですら倒木等々で辿り着くのは困難なのだとか。
もちろんヒグマ出没地帯。
ただし今は増水で釣りはおろか、浸水林となり近寄ることができず、
落ち着くまで三日はかかるとのこと。
親類宅へのご挨拶時の合言葉を決め、
ありがたく訪問させて頂くことにした。
確認していないが釣人は年齢も同じくらいで、
お互いうっかり四十余年も魚釣りを嗜んできたので、
釣り談義が弾みまくる。
ここまでイト・ウの魅力を語ってくれたのに、
彼らの間ではもっと狡猾で強烈な魚種が人気なのだという。
2024年03月11日
イトウは心に宿る38
見知らぬ男性がおもむろに
「あるで」
車で信号待ちをしていると窓をノックされ、
密売人が声を掛けてくる。
同じく信号待ちで窓をノックして
「ヤクルトいかがですか」と声を掛けてくるヤクルトおばさん。
もっと凄いのはマラソン大会のランナーと並走して
「ヤクルトいかがですか」と追いかけてくるヤクルトおばさん。
これらは決して大阪名物ではなく、
全国でもポピュラーな声掛けあるあるだと思うが、
ここ北海道で声を掛けてきた同年代と思しき男性の場合はこうだった。
「水は落ち着いていましたか」
まったく笑いのネタになりそうな言葉でもなく、
胸元に峡谷がのぞく女性でもない非常につまらない展開だが、
魚釣りができるか確認するための質問だったため、
いましがた釣りが成立したことを伝えた。
この一言二言のラリーで釣人はイントネーションの違いを
見抜いたらしく、車のナンバーを見て
「札幌ナンバー!?また遠い所から」と感心していたが、
おもいっきり関西弁やしとツッコミそうになった。
恐る恐る遠路はるばるやってきたことを伝えると、
遠方からやってきた僕を歓迎してくれた。
このご時世、新型コロナを警戒されてもおかしくないのに、
申し訳ない気持ちであるのとワクチン接種をしていることを伝え、
僕は胸を撫で下ろした。
釣人は、なぜこんな所まで魚釣りをしにきたのか尋ねるので、
簡潔に答えを述べると驚き、それは宿命だなと笑った。
そんな幼い頃からイトウに憧れていたならぜひ釣ってほしいと言ったが、
イトウは自分で辿り着きたいので、
くれぐれもポイントの教示はご遠慮願う旨を強調した。
それにしても違和感がある。
僕は釣人が発するイトウに違和感があり、
どうにも会話が頭に入ってこない。
イトウの発音はイトウだと思って生きてきたし、
発音が命のアナウンサーもイトウと発音する。
なのにこの釣人はイトウをイト・ウと発音する。
近い発音はカワウだが、もっとウを上げて発音する。
こ、これが本場の発音なのだろうか・・・・・・、
郷に入ればなんとやらだが、ウと言った途端に
失笑しそうで真似ることができやしない。
釣人は僕が憧れるイトウが泳ぐ川の畔に生まれ、
魚釣りを覚えたのもお互い幼少期だったこともあり、
釣り談義は同じ領域で展開する。
僕は最も気になっていた質問をした。
イトウは幻なのかと。
すると釣人は決して幻ではないと言い、その言葉に少し安堵した。
絶滅寸前の幻の魚なんていてはいけないのだ。
釣人は続けて面白い話をしてくれた。
イトウを釣るのは難しいことではなく、むしろ簡単だという。
まあ確かに聡明な顔つきでないのは一目瞭然だし、
その証拠にあらゆる生き物を捕食する習性がある。
まるでイトウ蔑視だが個人の感想だ。
ゆえに最盛期にもっとも興奮する狙い方で
イトウ釣りを楽しんでいるらしく、釣人特有の法螺話ではないかと
訝しんだのが見て取れたのか、
スマホに入っている証拠画像を見せてくれた。
スレた僕を驚かせる画像の数々に、
これは刺激が強すぎてネットで公開できないねと言うと、
そうだと笑った。
これらのイト・ウを承認欲求による一時の気の迷いで
SNSに投稿しようものなら、
程度の低い釣人は釣果を妬み、
厚顔無恥な釣人はポイント目的にすり寄ってくるに違いない。
しかしこんなに長いイトウを見たことも聞いたこともなく、
ちょっと次元が違う大きさだ。
イトウがここまで成長できる自然環境が整っていることは素晴らしく、
日本にこのような秘境が残っていたことに嬉しさを感じた。
どおりでさきほど僕が持ってきたランディングネットを見て、
これでは取込めないと笑ったことにも納得がいった。
巨大イトウを取り込むなら、
人間がすっぽり収まる特大ランディングネットが必要なわけだ。
しかもイトウが大きいだけでなく、
全てのイトウがあまりに格好良いのだ。
その謎はすぐに解け、一般的に目にするイトウより体高があることを伝えると、
「そうだろ」と言い、この地域特有だと言った。
そして釣人が集まる有名河川のイトウに触れ、
「あんなのはドジョウだ」と鼻で笑った。
炎上必至の発言だが、個人の感想なので批判は受付けない。
それにしても画像に写るルアー達よ、
いいわこれ、わかってるねーと思わず声が出て、
これで釣るのはエキサイティングだし、
古い釣人なのがバレるでと笑った。
すると、このルアーの良さがわかるかと釣人は喜び、
そりゃそうでしょと僕も笑う。
すると得意げに、ある月のこの時間帯にこのルアーをこうして使うと、
こんなサイズのイトウが水柱を・・・・・・!うわあ凄い、たまらん。
めっちゃわかる、本湖の琵琶湖大鯰もそれなんよ。
でもこのポイントだけは絶対教えられねえというから、
教えんでいいよと答えた。
釣人は僕のローディーラー・アウトレイジャスや、
ブラックシープ250にヘッドハンターSRV、
リーダーにFGノットにルアーなどを確認した後、
このタックルだったら大きいイト・ウも獲れると言い、
イトウを狙う本命河川はどこなのかと、
挑発的な質問をぶつけてきた。
「あるで」
車で信号待ちをしていると窓をノックされ、
密売人が声を掛けてくる。
同じく信号待ちで窓をノックして
「ヤクルトいかがですか」と声を掛けてくるヤクルトおばさん。
もっと凄いのはマラソン大会のランナーと並走して
「ヤクルトいかがですか」と追いかけてくるヤクルトおばさん。
これらは決して大阪名物ではなく、
全国でもポピュラーな声掛けあるあるだと思うが、
ここ北海道で声を掛けてきた同年代と思しき男性の場合はこうだった。
「水は落ち着いていましたか」
まったく笑いのネタになりそうな言葉でもなく、
胸元に峡谷がのぞく女性でもない非常につまらない展開だが、
魚釣りができるか確認するための質問だったため、
いましがた釣りが成立したことを伝えた。
この一言二言のラリーで釣人はイントネーションの違いを
見抜いたらしく、車のナンバーを見て
「札幌ナンバー!?また遠い所から」と感心していたが、
おもいっきり関西弁やしとツッコミそうになった。
恐る恐る遠路はるばるやってきたことを伝えると、
遠方からやってきた僕を歓迎してくれた。
このご時世、新型コロナを警戒されてもおかしくないのに、
申し訳ない気持ちであるのとワクチン接種をしていることを伝え、
僕は胸を撫で下ろした。
釣人は、なぜこんな所まで魚釣りをしにきたのか尋ねるので、
簡潔に答えを述べると驚き、それは宿命だなと笑った。
そんな幼い頃からイトウに憧れていたならぜひ釣ってほしいと言ったが、
イトウは自分で辿り着きたいので、
くれぐれもポイントの教示はご遠慮願う旨を強調した。
それにしても違和感がある。
僕は釣人が発するイトウに違和感があり、
どうにも会話が頭に入ってこない。
イトウの発音はイトウだと思って生きてきたし、
発音が命のアナウンサーもイトウと発音する。
なのにこの釣人はイトウをイト・ウと発音する。
近い発音はカワウだが、もっとウを上げて発音する。
こ、これが本場の発音なのだろうか・・・・・・、
郷に入ればなんとやらだが、ウと言った途端に
失笑しそうで真似ることができやしない。
釣人は僕が憧れるイトウが泳ぐ川の畔に生まれ、
魚釣りを覚えたのもお互い幼少期だったこともあり、
釣り談義は同じ領域で展開する。
僕は最も気になっていた質問をした。
イトウは幻なのかと。
すると釣人は決して幻ではないと言い、その言葉に少し安堵した。
絶滅寸前の幻の魚なんていてはいけないのだ。
釣人は続けて面白い話をしてくれた。
イトウを釣るのは難しいことではなく、むしろ簡単だという。
まあ確かに聡明な顔つきでないのは一目瞭然だし、
その証拠にあらゆる生き物を捕食する習性がある。
まるでイトウ蔑視だが個人の感想だ。
ゆえに最盛期にもっとも興奮する狙い方で
イトウ釣りを楽しんでいるらしく、釣人特有の法螺話ではないかと
訝しんだのが見て取れたのか、
スマホに入っている証拠画像を見せてくれた。
スレた僕を驚かせる画像の数々に、
これは刺激が強すぎてネットで公開できないねと言うと、
そうだと笑った。
これらのイト・ウを承認欲求による一時の気の迷いで
SNSに投稿しようものなら、
程度の低い釣人は釣果を妬み、
厚顔無恥な釣人はポイント目的にすり寄ってくるに違いない。
しかしこんなに長いイトウを見たことも聞いたこともなく、
ちょっと次元が違う大きさだ。
イトウがここまで成長できる自然環境が整っていることは素晴らしく、
日本にこのような秘境が残っていたことに嬉しさを感じた。
どおりでさきほど僕が持ってきたランディングネットを見て、
これでは取込めないと笑ったことにも納得がいった。
巨大イトウを取り込むなら、
人間がすっぽり収まる特大ランディングネットが必要なわけだ。
しかもイトウが大きいだけでなく、
全てのイトウがあまりに格好良いのだ。
その謎はすぐに解け、一般的に目にするイトウより体高があることを伝えると、
「そうだろ」と言い、この地域特有だと言った。
そして釣人が集まる有名河川のイトウに触れ、
「あんなのはドジョウだ」と鼻で笑った。
炎上必至の発言だが、個人の感想なので批判は受付けない。
それにしても画像に写るルアー達よ、
いいわこれ、わかってるねーと思わず声が出て、
これで釣るのはエキサイティングだし、
古い釣人なのがバレるでと笑った。
すると、このルアーの良さがわかるかと釣人は喜び、
そりゃそうでしょと僕も笑う。
すると得意げに、ある月のこの時間帯にこのルアーをこうして使うと、
こんなサイズのイトウが水柱を・・・・・・!うわあ凄い、たまらん。
めっちゃわかる、本湖の琵琶湖大鯰もそれなんよ。
でもこのポイントだけは絶対教えられねえというから、
教えんでいいよと答えた。
釣人は僕のローディーラー・アウトレイジャスや、
ブラックシープ250にヘッドハンターSRV、
リーダーにFGノットにルアーなどを確認した後、
このタックルだったら大きいイト・ウも獲れると言い、
イトウを狙う本命河川はどこなのかと、
挑発的な質問をぶつけてきた。